Thursday, February 21, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その6)


さて、いよいよ最終回も近づいてきたようです。今回は老化と再生医療と若返りについての6回目となります。これまで以下に示す6つのことを紹介してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌
(5)再生医療は生物学者と医師のコラボ
(6)体を健康に保つためには食事、休養、運動が大事だけど、、。

みなさんはきっとご存知でしょうね。老化とは外から見て分かる変化と体の中の変化の両方があるということを。誰しも年を取ると、見た目に変化が現れます。また、筋力や記憶力、感覚能力の低下などもございますよね。しかし、人を死に至らしめる老化現象はやはり免疫力の低下ではないでしょうか。

まだ全てが明らかになった訳ではないのですが、一般的に癌は60歳以降に高頻度に発生することが分かっています。老化すると癌に限らず脂質代謝異常や動脈硬化などが複雑に絡み合って色々な病気が発生します。特に癌に代表される非感染症、つまり遺伝子の異常によって発生すると考えられている病気のほとんどは免疫力の低下と関係しているのではないかと考えられています。

そのメカニズムの詳細はまだまだ研究途中なのですが、それを解決する、あるいは予防するにはやはり若返りが必要となってくる訳です。

ここで私が説明することは私が中学生のときに思いついたことです。つまり、大したことではないかもしれないし、実はすごいのかもしれないアイデアです。でも、今でも全く問題はないし、やれば出来る簡単なものです。

さて、その前にちょっとだけ、「自己と非自己」について述べなければなりません。自己とは自分自身のこと、非自己とは自分以外の存在を意味します。人の体はこの自己と非自己をしっかり見分けることで日々を暮らしていけるのです。ちょっとけがをしただけでそこから出血し、炎症を起こし、痛み、腫れて来るのは人の体が外部からの非自己の侵入を防ごうとしているからです。

そうしたこと、つまり免疫システムがしっかり機能していないとあっというまに体は腐ってしまいます。

一方、再生医療や移植医療を考える上で、この免疫システムはちょっとした障害になります。家族からの臓器提供、あるいはドナーバンクからの骨髄移植、肝臓移植など様々な場面で自己と非自己を見分けて非自己を攻撃する免疫システムを少しだけ弱らせて患者さんの本来の回復を待つという治療が見られます。

ところが、これが自分の細胞、つまり自己のものであれば免疫抑制剤の使用は必要なくなりますし、そうした面でもiPS細胞を用いた再生医療、移植医療は期待されているのですね。

もちろんそうした手術によって失われた臓器を元通りにすることは大事でしょう。必要なものであることは間違いありません。しかし、人は誰しも誕生、成長、そして老化してしまうのです。体が60兆個の細胞から形成されていてそれらの調節を脳が直接的、あるいは間接的に行っている、それを考えれば、あるアイデアが浮かびます。

例えば、既に美容外科では実施されている女性のための女性ホルモン注射があります。エストロゲンですね。エストロゲンは月経周期や骨の代謝、肌の健康をはじめとして女性の体を維持するために非常に重要な役割を果たしています。確かに一時的には効果はあるはずです。特に閉経後の女性には有効な方法かも知れません。

しかし、単一のホルモン注射で危険はないのでしょうか。エストロゲンは脂溶性ホルモンですから、どうやって作られているのでしょうね。牛の胎盤からの抽出でしょうか。ヒトの胎盤でしょうか。おそらく前者でしょうね。

おっと、話を戻します。若かったときを思い出してみてください。中学生くらいがいいでしょうか。驚くほどの記憶力とぴちぴちの肌、徹夜しても苦にならない体力などがあったかと思います。それらは血液中に流れている様々なホルモンの刺激によって(もちろん大元は脳が指令をだす)体中の細胞が元気に活動していたのです。

単一の強力なホルモン注射は弊害があるでしょうし、お金もかかります。また仮にそこに何かが混入していた場合は大変です。私が昔に考えついたのは自らの血液を取っておいて、それを何十年後かに自分に注射する血液バンク構想だったのです。

血液には血球成分と血漿成分があります。体の各部位に指令を出すホルモンは血漿成分にとけ込んでいるので、それを保存する方法さえ確立すればいいのだと思ったのです。既に蛇の毒を中和するための抗血清のように、凍結乾燥する技術は確立しているのですから、例えば中学生の頃に血液の液体成分である血漿を凍結乾燥して血液バンクの自分の口座に預けておいて(貯金)、何十年後かにそれを引き出せばいいのではと思ったのです。

それをやるには医師の協力が必要ですし、実際に効果があるかどうかを検証する必要もあるでしょう。また、口座管理をきっちりしないと別人の血液を自分に注射してしまうことにもなるかもしれません。

このアイデアを思いついた後に、実際は自分のものでなくとも、自分の子どものものでも同じ効果が得られる可能性があるとは思ったのですが、そのために子どもから血液を採取するのもどうかと思いましたので、本来は自分の物がいいのでしょうね。

現在、輸血用の血液、あるいは血友病患者さんなどへの血液製剤の不足を補うために全国の献血センターは必死に献血を勧めています。AKB48のような人気のあるグループが、献血の重要性とともに、私が考えたこのアイデアのことも含めて、世の中にアピールしていっていただけるととても嬉しいです。

自分が医師であればきっともっとずっと若いときから自分の血清(あるいは血漿)を凍結乾燥粉末にしてとっておいたのに、、、。そう思っています。どのくらいの量が一回に必要となるかは実際やってみないと分かりません。でも必ずといっていいほど効果はあるものだと信じています。

体の中でゆっくりと細胞分裂が進んでいるところには実は幹細胞と呼ばれるテロメラーゼ活性の高い特殊な細胞集団が存在していて、体を維持していると言われています。そうしたものを活性化し、細胞内のミトコンドリアを増やし、免疫力を回復し、恋をし、晴れ晴れとした気分で幸せに長生きするためにはやはり自らの血液バンクに頼ることかな?と思っています。

ずいぶん最後は急いでしまって、また専門用語も使ってしまったので「しまったな」と思っていますが仕方ないですね、、すみません。

自分が学んできたことなどを織り込みながらお伝えしてきた「老化と再生医療と若返り」に関する連続コラムは今回が最終回です。どうもありがとうございました。

最後にまとめます。
たった一個の受精卵から始まって、長い年月生きてきた私たちは老化によって様々な障害が発生し、病気にかかり命を落とします。それを少しでももとの状態に戻すには食事、運動、睡眠、なのですが、一方で、若かったときの血液中のホルモンバランスを取り戻すために、自分の血液バンクに預けておいた貯金を引き出す、そうしたことが出来ればきっとかなり改善できるはずです。それにかかるコストや管理方法、効果判定など様々な問題はございますが、一考に値するものではないかと考えています。いかがでしたか、皆さん?



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Tuesday, February 19, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その5)


さて、今回は老化と再生医療と若返りについての5回目になります。この連続コラムではこれまでに以下の5つのことを紹介してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌
(5)再生医療は生物学者と医師のコラボ

今回はいよいよ若返りについて示そうと思います。

これまで何度も言ってきた事ですが、私たちは最初はたった1つの受精卵から細胞分裂を繰り返して60兆個の細胞からなる体となっています。その過程でそれぞれの細胞は皮膚や神経や筋肉、あるいは血液など、様々な細胞へと変化(分化)してきているのです。

細胞自体に分裂回数があり、筋力の衰えや、皮膚の水分含有量の低下、記憶力や様々な感覚能力の低下など、細胞というよりは個体レベルでの老化によって、体のあちこちに痛みや、障害が発生してしまうのですね。

そうしたことから全ては老化と簡単に片付けられてしまっては、老いることは悪い事だと考えてしまう方も多くいらっしゃる事だと思います。

私も最近では老眼鏡が必要な年となり、きっとこの後色々な肉体的な衰えを実感する事になってくるのでしょうね。

さて、今回はそうしたことをどうやって改善するのか、つまり若返る方法について書いてみようと思います。

みなさんは、もし若返る事が出来るとしたら、何歳に戻りたいですか?40歳?30歳?20歳?それとも10歳?

特に女性の場合は外見的なものとして、肌の変化を気にされているのだと思います。他にも太りやすくなってしまっているとか、男性でも疲れやすいとか、体力が続かないなどなど。

そうしたものを改善するためにどのようなことをされていらっしゃいますか?あるいは実際にやらなくともどうすれば若返る、あるいは老化を防げるとお考えでしょうか。

もちろん、それは食生活であったり、十分な休養であったり、適度な運動などですよね。それらが不足しているので、老化は進んでしまうと考えられています。

ではそうした上に挙げた3つのこと、つまり(1)食事(2)休養(3)運動、これらから得られるものとは何でしょうか。肉体にあるいは細胞にどのような影響をもたらしているとお考えですか?

食事は当然の事ながら体を健康に維持するために必要な栄養素を補うためですよね。年を取ると、代謝すなわちエネルギーの消費(合成も本来は代謝の一部ですが、ここでは分かりやすく消費=代謝と説明致します)が低下してきますので、タンパク質、脂肪、炭水化物、そしてホルモンの産生や免疫力の維持に必要なミネラルやビタミンなどもバランスよく必要となって参ります。

休養は疲れを取り除き、体の各部位にエネルギーを供給するとともに、臓器や器官、細胞が作り出した老廃物を体外に排出する事も含まれています。

そして、運動、これは実はとても重要です。なぜなら、体を構成する筋肉は刺激を受けて活性化し、付加をかけることで発達し、それらがないと衰えてしまうからです。筋力の増加は代謝を上げる事にもつながります。運動はただ動いているのではなく、絶えず脳が指令を出し、各部位からの情報を得て、体が活性化状態になるのです。本来、狩猟採集のために活動をしていた本能を目覚めさせる事にも繋がると考えられています。

さて、しかし、それら3つのことが本当に出来るでしょうか。私たちの体が細胞で出来ていて、ゆっくりとした細胞分裂が続いていることで維持されている事を考えれば、それらを全身的に変化させる方法がきっとあるはずです。

私はまだ挑戦している訳ではありませんが、その方法を中学生時代に発見しました。私がもし美容関係の医師(美容外科)をしていたとしたら、きっとそれを実践しているはずです。

今回は前振りが長くなってしまったので、実際の方法は次回にご紹介してみようと考えています。もし、皆様の中で、その答えが既にお分かりの方がいらっしゃったら是非コメントやメッセージをお願い致します。

医師や看護師の方も多くご覧になっていらっしゃるようですので、きっと正解をお分かりの方も多くいらっしゃる事でしょうね(^_^)


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Sunday, February 17, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その4)


さて、今回は老化と再生医療と若返りについての四回目です。このコラムではこれまで以下に示す四つのことを示してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌

今回は再生医療について示します。

人の体はうまく出来ていて、赤ちゃんとして生まれて、中学生、高校生くらいに男性は男性らしく、女性は女性らしい体つきになり、細胞の寿命がつきることや、様々な老化の蓄積として、最終的には死に至ります。

多分、この寿命が200歳や300歳になることはないでしょう。長くとも100歳くらいという今の状況は変わらない事だと思います。だからこそ、その短い一生をいかに有意義に過ごすかに、私も含めて多くの人が挑戦し続けているのでしょうね。

さて、みなさんは「再生医療」という言葉を聞いた事がございますか?再生医療というのは簡単に言うと、失われてしまったり、悪くなってしまったりした部分を細胞を加工して作った新しい部品と交換してしまおうという考えです。

みなさんはトカゲの尻尾が切れてしまってもまた生えてくると聞いた事があるかと思います。あれは、切れてしまった部分の細胞がもとの尻尾を細胞分裂によって「再生」しているのですね。でも、実は爬虫類の再生能力は完全ではなくて、再生されたトカゲの尻尾の中の骨は不完全だと言われています。

多分何回切れても生えてくるのだと思いますが、見た目ほど再生能力は完全ではないようなのです。この再生能力の高さは両生類や魚類の方が高く、両生類であるイモリの腕は切断してもきちんと再生されます。どうも高等生物(と言いたくないのですが)ほど、再生能力は衰えていくようですね。

では、人には再生能力が無いのかというとそうでもありません。ちょっとした切り傷や擦り傷などはしばらくすると治りますし、軽度の火傷であれば、皮膚の下の方から新しい皮膚が作られてきて、やがて綺麗に置き換わります。

他にも肝臓は非常に再生能力が高い臓器として知られていて、半分以上を切り取っても数ヶ月後にはもとの大きさにまで再生されます。

まだ、そうした再生のメカニズムは完全には分かっていませんが、多くの研究者によって必要なタンパク質や遺伝子などの情報が蓄積されてきて、今では特にES細胞やiPS細胞を目的の細胞に分化させる事も可能になってきました。

ここではES細胞や、iPS細胞について述べてしまうと長~~~くなるので、少しにします。

このコラムでは最初に私たちの体はたった一つの受精卵からスタートしているとお伝えしているはずです。受精卵は何度も細胞分裂を繰り返す事で、皮膚、脳、腸、神経、血液などなど様々な種類の細胞となり、体を作り上げてきました。

つまり、最初の受精卵は複雑な仕組みによって体を構成しているすべての種類の細胞に変化(分化)することが出来る(出来た)訳です。その仕組みがかなり分かってきたのですね。

ES細胞やiPS細胞というのはこの受精卵に近い状態の細胞で、ES細胞は受精卵から赤ちゃんに育つ途中の細胞から作られ、一方iPS細胞は既に大人になった体のどこかの細胞から作られるという違いがあります。

iPS細胞は本人の細胞をもとにして作るので、上に述べた様々な複雑な仕組みをその細胞に応用すれば、神経にも、皮膚にも、あるいは精子にすら細胞を変化(分化)させられるわけです。そうして作られた皮膚や臓器があれば、火傷や癌などで失われた部分を置き換える「再生医療」が確立するはずなのです。

もちろんこうした行為は男女の営みによる自然な流れとは大きく異なっていますので、神の冒涜だと反対される方も多くいらっしゃるかもしれません。短い一生を考える上ではそこまでするか?と思われる方もいるかもしれませんね。

人の価値観は様々ですが、ちょっと蚊に刺されただけでかゆくて薬を使ってしまうのが人情です。火傷が自然に治るまではずっとヒリヒリして辛いものです。同じように例えば、インスリンの分泌(ぶんぴつ)が極端に低下してしまった糖尿病患者さんに再生医療によって作り出した正常な膵臓を提供できるとしたら、患者さんのQOL (Quality of Life:生活の質)は見事に改善されるでしょう。あるいは、事故で失ってしまった腕や脚を元通りに出来たとしたらどうでしょうか。

そうしたことを目指すのが再生医療の発展に挑む生物学者と医師の共通の考えなのです。

今回の内容をまとめます。
・受精卵から体が作られてくる仕組みが分かってきた
・ES細胞やiPS細胞という受精卵に近い性質の細胞をつくることが出来るようになってきた
・それにその仕組みを応用すれば、様々な細胞を作り出す事ができる
・困っている患者さんを救うための再生医療は生物学者と医師のコラボレーション



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Friday, February 1, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その3)


さて、少し日が空いてしまいましたが、老化と再生医療と若返りについての三回目です。

これまでこのコラムでは以下の三つのことを示してきました。

(1)私たちの体はたった一つの受精卵から始まって、60兆個もの細胞からなるからだとなっていること
(2)緩やかな細胞分裂が続いているために体が維持されている井子と
(3)細胞には分裂する事の出来る回数が決まっていて、それが老化と関係していると考えられていること

そこで今回は細胞の不死化というテーマでお話し致します。

誰しもいつまでも若く逞しく、そして長生きしたいと思うものです(そうでも無い人もいるようですが)。昔の権力者の中にも不老長寿を望んだ人がたくさんいたようです。

前回、細胞は分裂できる回数が決まっていてそれを終えると死んでしまうとご紹介しました。この細胞分裂の回数制限(回数券?)はテロメアと呼ばれる部分がすり減っていって無くなってしまうことで決まっている事が分かっています。

では、そのテロメアが短くなるのを防ぐ事が出来ればどうでしょうか。それが出来れば細胞分裂の回数制限は無くなりそうです。細胞分裂の回数制限が無くなれば、いつまでも若く生き続けられそうです。

私たち人間から見ると、永遠に生きているように思える植物や、無限に分裂を繰り返しているバクテリアなどは一体どうしているのでしょうか。

実は彼らは短くなったテロメアを再び長くするテロメアーゼという酵素を持っていて、その働きでほぼ無限に細胞分裂できる仕組みがあるそうなのです。そうした仕組みがあるおかげで、植物の場合は年老いた老木でもほぼ永遠に近いほど生きる事が出来るそうなのです。

そうしたことが出来れば人も長生きできそうですよね。実は私たちの体の中どんどん細胞分裂を始める細胞が生まれる事が分かっています。しかし、その細胞が原因となって、毎年多くの方が命を落とされています。

それは一体何でしょうか?賢明な方はご存知ですよね。それが「癌」です。

癌は不死化した細胞だと言われています。細胞が生きているとは細胞分裂していることを意味するので、細胞の死とはその逆に細胞分裂できなくなったことを意味します。

癌細胞には細胞分裂の回数制限がありません。体の中で他の正常な細胞よりも速く繰り返し分裂し、体のあちこちに広がっていくことで、人を苦しめて、死に至らしめます。

細胞の不死化とはそうした無限に細胞分裂を繰り返す癌を生み出す事にもなるのです。

ちょっと最後は恐ろしい話になってしまいましたね。今日の話をまとめますと、細胞の寿命が無限になれば老化しないと思いますが、不死化した細胞、癌は決して不老長寿はもたらさないという事です。きっと、何か理由があるのでしょうね。

さて、次回は再生医療のお話に進みます。


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Tuesday, January 29, 2013

What is Life? 老化と再生医療と若返りについて(その2)


さて、老化と再生医療と若返りについての第二回目です。前回は人の体は60兆個の細胞からなっていて、緩やかな細胞分裂が続いていることで体が維持されていることを説明致しました。

この仕組みがいつまでも続くのであれば、きっと寿命はなが~く続くのですが、そうでもないというのが今回のお話です。

今回は「細胞の老化」について説明します。前回お話ししたように体の中では盛んに細胞分裂を続けている場所と、そうでない場所があります。みなさんは老化と聞くと、記憶力が低下したり、運動能力が衰えたり、あるいはしわやシミが増えたり、耳や目が衰えたりすることを知っていますよね。

まだそうしたものの本当の原因は完全には分かっていないのですが、細胞を用いた研究によって、老化あるいは寿命とは何であるのかはある程度分かってきました。

みなさんが年を取ると、「老化」します。同じように体を構成している細胞も「老化」するのです。

細胞が老化すると細胞分裂が出来なくなります。そうなると、細胞はやがて死んでしまいます。細胞分裂が出来なくなって、細胞が死んでしまったら、本人もやがては死んでしまいます。

人の一生に限りがあるのと同じく、細胞にも細胞分裂できる回数に限りがあるのが分かったのは1961年のことです。当時スタンフォード大学の解剖学教室教授だったレオナルド・ヘイフリック博士はあるとき、正常な細胞を培養しているとそれ以上分裂できなくなることを発見しました。

ヘイフリック博士はその原因を解明することは出来ませんでしたが、その後、それが遺伝子DNAの端っこにあるテロメアと呼ばれる特別な部分が細胞分裂によって少しずつ短くなり、それが無くなると細胞分裂が出来なくなることが分かったのです。

このテロメアを発見した人はノーベル賞を受賞していますが、面白い説明をしています。

細胞をスポーツシューズに例えて、靴ひもの恥じっこにある透明なテープが巻かれている部分をテロメアだと説明しています。この端っこの部分がなくなると、靴が崩壊してしまう(細胞が死んでしまう)のだそうです。

今回の話をまとめると、本人の老化とは別に、細胞にもテロメアという靴ひもの端っこが短くなり、終いには分裂できなくなって、遂には死んでしまうという「老化」があるということです。

次回は「細胞の不死化」について説明します。


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