これまで、What is Life?の、今シリーズでは、「癌」をテーマにお伝えして参りました。おそらく、このテーマでは、本日が最終回です。癌の定義(特徴)、性質、死を迎えることになる病気であること、そして、What is Life?を語る上で重要な意味を持つこと、そうしたことをお伝えして参りました(本講義外のコメントで示したものもございます)。
本日は、「癌を完治させることの難しさ」をお示し致します。繰り返しますが、「癌」は、まだまだ未解明な問題点を多く持ち、どのような癌であっても必ず治る治療法は、(現時点では)ございません。それは、「癌」が死なずに無限に増え(不死化)、そして、まわりの組織を破壊(浸潤)しながら飛び火(転移)するという恐ろしい基本的な特徴を有しているばかりか、その質の悪さ(悪性度)の程度によって、病気の進行度合いが異なるため、治療方法が最適なものを選択することが、困難であるからです。
「癌を完治させることの難しさ」、その理由を示すには、基本的に上述の通りなのですが、それぞれに、さらに困難な現実が含まれていることは、容易に想像がつくのではないでしょうか。
では、
(1)そもそも、癌に罹るとどうなるのか?
(2)どうすれば効果的に治療出来るようになるのか?
(3)なぜ一生懸命治療してもその後に悪化し、死亡するケースが後を絶たないのか?
そうしたことを、おそらく、お若くて、まだ、お考えになったことの無い皆様に、What is Life?の聴講生として、考えていただきたいのです。私(サミぃ)は、現時点で分かっていることを、以下に列挙致します。そして、最後に、改めて恐ろしい病気(生物学的には、その起源やメカニズム解明が非常に興味深い)であることを、示します。少し長いですが、お付き合い下さい。
(1)そもそも、癌に罹るとどうなるのか?
例えば、最近では自らが「癌」に罹っていることを公表する方が、歌手の方などに屢々見られます。彼ら、あるいは、彼女らは治療の途中経過を報告する各段階で、「髪が抜ける」「痩せて体力が落ちる」「標準治療によっても転移が防げずに死期が迫ってきていること」、そうした状況を報告されますので、皆様も、ご覧になられたかと思います。
「癌」は一度発生すると、どんどん増え、そして、浸潤して、あちこちに転移しようとします。免疫システムの攻撃をかいくぐりながらでございます。まるで、この「癌」に「自らが増え、生き抜く意志」があるかのようです。
癌患者は、上に書いたような外面的変化を起こしますが、この外面的変化はもちろん、一部は、癌そのものによって体が攻撃された結果にもよるのですが、そうではない、「治療」によるものも多くございます。髪が抜けることなどは、「治療」による典型例でございます。
「癌」は体がもつ、勝手に増えないようにする命令を無視して、正常細胞よりも速いスピードで分裂増殖します。そのスピード差を狙って、細胞分裂する細胞を叩く治療方法が、比較的増殖の早い、毛根組織や、腸の粘膜などに、影響して、脱毛や胃腸不全などになるのです。これはもちろん、多くの聴講生はご存知のことでしょうね。
問題は、そうした、表面的なことではなく、手遅れになったときに現れます。それが「疼痛」と呼ばれる痛みです。癌は痛いのです(全てではないかも知れません、すみません調べが不十分です)。癌患者は、痛みに苦しみ、その痛みをモルヒネという麻薬を投与することで回避すると伺っております。ただでさえ、あらゆる治療方法で、体力が奪われて、そして、痛みに苦しみ、「尊厳死」を選択したいとお考えになる患者様が多くいらっしゃるのです。
もしかすると、まだ、お若く、実感をお持ちではないのかも知れませんが、様々な手記が出版されておりますので、お時間がございますときにご覧下さい。書店に行かれるのが、難しい場合は、8/23の読売新聞トップにも、日本対癌協会会長、垣添先生の記事がございますので参考になさって下さい。私は祖父や義理の父を癌で無くしています。しかし、まだ、両親は健在です。幸せなことです。十分な親孝行が出来ていません。つらいものです。
(2)どうすれば効果的に治療出来るようになるのか?
これは、かなり難解です。世界中の医師や生物学者が精力的に治療法、診断法の開発を行っておりますが、まだ、ゴールには到達しておりません。ただ、基本的には、「癌が正常な細胞とどう違うのか?」それを目印にした手法が、日々考えだされている(研究開発)のですが、「癌」は、細菌による感染症などと異なり、患者ごとにその性質が異なり、また、同じ患者であっても、再発するたびに悪性度が増す傾向にありますので、後になればなるほど、治療が困難になりますし、その治療方法も変えていく必要があるわけです。
「オーダーメイド医療」という、患者ごと(病気の性質ごと)に治療方法を変える必要性が提案されておりますが、なかなか、そうした方針が、患者の現実に追いついていないというのが現状です。
「癌」は細胞分裂や、タンパク質合成、DNAの複製やRNAの転写、糖鎖の合成、MMPに代表されるプロテアーゼの産生と分泌、免疫システムからの脱獄メカニズムの発達など、ありとあらゆる生命現象を起こす、ある意味での「生命体」です。分裂増殖し、増えるのですから、、。周りを押しのけて頑張って増えようとしている「生命力」の強い細胞集団です。しかし、増えすぎると、宿主が死亡し、自らも命を落とします。では、彼ら、あるいは彼女らは、どうしたいのでしょうか?他の人の体にまで、その生息範囲を広げようとしているのでしょうか?それは、本人に聞かないと、分かりません。
いずれにしましても、「癌」は「個体」ではございません。異性との間で、生殖を行い、次世代を残すものではございません。種の多様性を広げることは、基本的に行いません。ですから、サミぃは「癌」は「生き物」ではないと考えるのです。
どうすれば効果的に治療出来るようになるのか?の答えは、基礎研究を発達させなければ決して見つかりません。サミぃは、これまで、多くの期間、癌を対象とした研究に携わることで、その一助をなしてきた自負はございますが、まだまだです。ですから、この(2)は即答出来ません。
(3)なぜ一生懸命治療してもその後に悪化し、死亡するケースが後を絶たないのか?
次に、このテーマを考えます。癌の治療方法は、みなさんもご存知のように、「外科手術」「化学治療」「放射線治療」この3つからなる「標準治療」です。これでもだめなら、保険適用外の「先進治療」(生命保険の担当者に聞けば教えてくれます。もちろん無料で。)を受けるか、健康食品にすがるか、あきらめる、そうしたケースが殆どであると伺っております。それが悲しい現実でしょう。
一言で言うと、治しきれないのです。全部取ったようで、取りきれない、全身治療である「化学治療」にも耐性を持たれては、さらに強い薬を必要としますし、副作用も強まります。放射線治療も同様です。どうしても部分的に、体を痛めます。さらに、攻撃対象が見えない(開腹しないという意味)状態で行うことが多い訳ですから、、。自ずと攻撃ミスも起こります。
<結論>
・癌は恐ろしい病気であり、癌組織は「生き物」ではない。
・治療方法は世界中で研究されているが、まだ完璧なものはない。
・「告知」を受け、そして、残された人生を、愛する人達と過ごすことに費やすべきであること。
・What is Life?について、「癌」という側面から、考えること。
本日の講義は以上です。次回は「献血」に関するテーマを採り上げます。そこで、皆様に質問です。
(1)献血をやったことがおありでしょうか?
(2)「いいえ」の場合、その理由は?
ここに、「献血」に関する問題があると、理解しております。もし、可能でしたら、コメントやメールで「献血」に関するサミぃからの質問にお答え下さい。よろしく御願い致します。
(1)献血をやったことがおありでしょうか?
(2)「いいえ」の場合、その理由は?
ここに、「献血」に関する問題があると、理解しております。もし、可能でしたら、コメントやメールで「献血」に関するサミぃからの質問にお答え下さい。よろしく御願い致します。
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