今年も、四季の中で最も美しいと感じる「秋」が、やってきたようです。全てにおいて心が浄化されるような、涼しくて爽やかな季節が、またやってきましたo(^-^)o。
さて、今回は新聞報道でご存知の方も多い、「院内感染」と「多剤耐性菌」に関することです。今回の内容は、生き物博士や、生き物博士を目指している方、あるいは、医師であれば、当然ご存知かとは思いますが、極めて重要なことなので、お伝え致します。
皆さんも、「抗生物質」という言葉は聞いたことがお有りかと思います。さらに、ことあるごとにそれを服用したことがお有りでしょう。抗生物質の起源や、そのメカニズムに関しては、サミぃは専門外なので、細かいことは説明出来ませんが、概念は理解しているつもりです。
「抗生物質」とは、細菌の細胞分裂を阻害する物質の総称で、最初の抗生物質は、第二次大戦の頃に、カビから見つかったと記憶しております(ベニシリンやストレプトマイシンという抗生物質が有名で、様々な研究に用いられている癌細胞の細胞培養には、このペニシリンとストレプトマイシンの混合液がよく用いられています)。
当時は、現代に比べて、衛生状態も悪かったはずですし、多くの方が、感染症で命を落としていたため、抗生物質の発見は、多くの方の命を救いました。特に、小さなお子様や、お年寄りの様に、免疫システムが不完全であったり、免疫システムが弱まってしまっている方には、まさに「魔法の薬」だったに違いありません。
その後も、様々な研究開発により、あらゆる抗生物質が発見され、有機合成などの技術によって、そうした抗生物質が安価に手に入る様になり、ますます、人類の寿命が延びていったそうです。
しかし、一方で、おそろしい細菌が誕生しているのです。それが抗生物質が効かない細菌(薬剤耐性菌:antibiotics resistance)です。一時期、ニュースなどで、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とか、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)とか、そうした言葉をお聞きになったことでしょう。これらの薬剤耐性菌の出現は、人類が抗生物質を乱用した結果として、発生している訳で、起こるべくして起こっているとも言える、所謂「人災」なのです。
皆様は、抗生物質と聞いたら、それはどこで使われているとお感じでしょうか?多くの方は「病院」とお答えになるでしょう。もちろん、それは正解です。しかし、実は、病院以外でも大量に抗生物質が使われている場所があるのです。それが「農場」、あるいは「畜産業界」です(あ、バイオのラボもそうですが、「アンピシリン」とかね(^_^))。
風邪を引いて病院に行くと、必ずと言っていいほど「抗生物質」を処方されます。多くの人が、「風邪はウイルスによって起こる病気で、抗生物質は意味が無い。熱や咳などを抑えて、体力の消耗を抑えて、体の中の免疫システムがウイルスをやっつけることで治るのだ」と分かっていても、処方された抗生物質を飲む訳です。
ただし、これはサミぃも経験があるのですが、風邪を引くと、多くの場合、細菌感染によって、のどがやられます。痰が絡み、そこで炎症が酷くなることで、出血したりすることがございます。そうしたときに、抗生物質を服用すると、そうした症状が急速に改善します。これは本当に助かります。しかし、体全体ということになると、話は別です。
病院での抗生物質の使われ方を説明致します。病院では先ほども申し上げました様に、あらゆる患者に「抗生物質」を処方します。風邪の場合は、細菌感染による肺炎防止という名目がございますし、その他の病気であっても、やはり、細菌感染を防ぐためというという目的があり、入院患者にも毎食後に抗生物質を飲ませているところが多いと伺っています。所謂、抗生物質まみれの家畜と同じ感覚で、保険の目的で、、、とも聞いております。
ですから、使用上の注意を良く読み、用法、用量を正しくお使い頂ければ問題は起きないのです。問題とは、「薬剤耐性菌の発生」のことであり、薬剤耐性菌を発生させる原因は、抗生物質の乱用にあることは、生き物博士も医師も、これでもかこれでもかと習っています。でも、出来ていません。そうした勉強をしていても乱用している農家の方、残念です。せまい畜舎でたくさんの家畜を飼わなければ成らないとしたら、それは必要性がありますでしょう。しかし、そこで何が起きているかを考えてみて下さい。
そうした薬剤耐性菌の発生が人災なのですから、そうした脅威を防ぐためにも、教育や周知活動、あるいはお役人の自覚や、政治家の強力なリーダーシップが大事なのです。
<結論>
(1)抗生物質は細菌の増殖を抑える物質の総称
(2)様々な抗生物質が発見されることで、人類に貢献してきた
(3)一方で、知識の無さや、お金儲けのために乱用されている
(4)結果として薬剤耐性菌が出現して院内感染が起きている
(5)乱用されている場所は病院と農場
(6)知識はあるのに乱用する医師と農家、知識もない政治家
(7)なので、これは人災
(8)これ以上拡大させないためには「教育」「自覚」「周知活動」
*サミぃの悪い癖で、文章中に様々なトピックスを含めてしまいましたので、<結論>を示すことにしていますm(..)m。
さあ、日本ならではの「秋」の到来です。人生を楽しみましょう!
先日の「癌について」(その2)にて細胞分裂が活発な成長期に牛乳をたくさん飲むと背が伸びるというくだりですが、Sammy先生への質問です。人間以外に種の違う生き物の乳を飲む生き物はいるのでしょうか?水より価格の安い牛乳が店頭の並んでいますが、これって何なのでしょう。子供達の体型がこんなに短期間に変わって来ています。すごいスタイルの良さで驚きます。この現象はライフスタイルの変化(畳からフローリングへ、日本食から洋食→ジャンクフード)だけでは説明がつかないと思います。嘗てブロイラーは米軍が開発したとんでもなく早く成長するチキンですね。
ReplyDelete成長ホルモンなどを使用しているのでしょうか?病気になりやすく、抗生物質を多量に使用すると聞いたかとがあります。水より安い牛乳を作る過程でその様なものが使用されているのでしょうか。成長ホルモンで育てられたフライドチキンを食べ、また特売の牛乳を飲む事によって背が伸びるとのことは言えないのでしょうか?外的にその抗生物質をも打ち負かす薬剤耐性菌が出現するだけでなく、内的な免疫の能力も減衰して来ているのではないでしょうか?いつの間にか自分の身の回りの物がすべて抗菌仕様になってしまっているし、バイオテクノロジーで創った農産物、抗生物質の力を借りて生育された家畜、、、、、。それでいいんですね。
これからもご活躍期待しております。
先生の講義を楽しみにしている者より。
Shiroくん、コメントありがとう。
ReplyDelete>人間以外に種の違う生き物の乳を飲む生き物はいるのでしょうか?
これはペットで見られること以外は聞いたことがありません。ただ、稀に自分の子どもではなくとも、群れの中でお乳をあげることは観察されています。チンパンジーにはそれが見られます。
>すごいスタイルの良さで驚きます。
私も驚いています。
>成長ホルモンなどを使用しているのでしょうか?病気>になりやすく、抗生物質を多量に使用すると聞いたか>とがあります。
仰る通りです。摂取する量が少ないとは言っても、人体やその成長に影響はあるでしょうし、環境への影響は甚大です。
公害かどうかは分かりませんが、足の無いカエルが大量に発見されたニュースは、足の形成に影響を及ぼす化学物質が水に高濃度に存在したからではないかと言われています。
>水より安い牛乳
これは水が高く、牛乳も安くなったということでしょう。
>内的な免疫の能力も減衰して来ているのではないで
>しょうか?
十分に考えられますが、疫学調査を待つしか無いようです。対処方法は、自分の家族を守るしないでしょう。
>抗菌仕様になって
そうしたきれいになりすぎることで花粉症もあるのです。
>バイオテクノロジーで創った農産物、抗生物質の力を>借りて生育された家畜
それも一方では重要です。しかし、What is Life?を考えることも重要です。あなたは生き物をたくさん殺して、それを食べて生きているのです。生きるために食べるのか、食べるために生きるのか、夏期集中講義をもう一度ご覧下さい。ヒントは十分に示したはずです。
>これからもご活躍期待しております。
>先生の講義を楽しみにしている者より。
ありがとう。出席したときはバナーをクリックする様に。今後ともよろしく御願い致しますm(..)m。
ご返事ありがとうございます。
ReplyDelete食べる事についての考えはとてもよく解ります。殺生や宗教的な事へも考えが及んでしまい、中々結論が出ませんがこれからも自分なりに考え、実践して行きたいと思います。
私は未だiBook(G4 1,42GHz)ですが、新しいMacBookへのグレードアップおめでとうございます。息抜きにレポート期待しております。
なるほどiBook G4であればTigerでしょうか?であれば最新のSafari4が使えます。Macに関しては以前、Click & Pressというホームページをやっっており、Steveさんにもバンバンメールしていたのですが、今は自粛しています。
ReplyDelete彼が本格稼働したら、改めて皆様へご紹介致します。名前は、、、Mr Unibodyかな?
ご推察の通りos 10.4.11です。
ReplyDelete情報ありがとうございます。早速Safari最新版でコメント。
Click & Pressは、一時お休みする前から閲覧させて頂いておりました。随分参考なさせて頂きました。思い切った投稿、楽しんでおりました。今後の生物界に置いても先生のイノベーション期待しております。お忙しい中、ありがとうございました。