昨夜は激しい雨と雷に見舞われました。サミぃは再び親友と食事をして、 天然ガス、石炭、石油 に関して、改めて語りました(それらの議論をブログ間で展開するための協力者を求めますm(..)m)。
ところで、アクセス統計を見ると、このWhat is Life?には海外からも多くの方がアクセスされていらっしゃいます(アメリカ、ドイツ、イギリスなどです)。留学という人生において貴重な体験をされている方、頑張ってください、そして楽しんでください。実験ばっかりではもったいないですよ。ま、きっと、要らぬ心配だとは思いますが、、(^^;)。さらに、欲を言えば、サミぃが海外出張に行った際にお会いできるとうれしいのですが、、o(^-^)o。
さて、本日は「変態」についての2回目です。その前に、田舎の象徴的な建物の写真をご紹介いたします。通学中にこの場所を何度訪れたことでしょうか。懐かしい建物です。
で、今日は「変態」の2日目です。前回は「変態」とは「幼生から成体へと体を大きく作り替える現象」だと説明いたしました。そして、我々哺乳類は、この「変態」を行わない、稀な生き物であることをお伝えいたしました。さらに「変態」は「ホルモン」によって調節されていると紹介いたしました。今回はこの、「ホルモンによる変態の調節機構」についてです。
まずは、この複雑な現象を簡単に理解するために、カエルと昆虫(特に蚕)を例にとって説明いたしましょう。まずはカエルです。
カエルは脊椎動物門の中で、両生綱、無尾目に属する生き物の総称で、幼生のときに、オタマジャクシと呼ばれる水中生活を行います。オタマジャクシは基本的に植物食で、カエル(大人)に比べて腸が長く、且つ、泳ぐための尻尾を持っています。体の表面は粘液に覆われていて、鱗はありません。四肢は発生の後期に肢芽から作られます。一般的には後肢が先に伸長し、あるときに、体の皮膚の下に形成されていた前肢がポンと体外に飛び出します(これは衝撃的です)。
尻尾は退縮し、体に吸い込まれてしまいます。カエルの変態も、昆虫と同様に、体の前後軸、左右軸、背腹軸の三軸の転換は起きませんが、昆虫の変態(完全変態)とは異なり、体中が溶けてしまって栄養になることはございません。そうした幼生の体全体がほぼ失われてしまう変態は無脊椎動物に広く観察されます。後に、改めて述べますが、ウニも、幼生の体全体がほぼ失われる変態です。
さて、そうした変態による変化は体の外から見えるもの(尻尾の退縮、四肢の形成)だけにとどまらずに、体内でも劇的な変化が生じています。その代表が、先ほど軽く触れました腸の長さの変化です。これは、専門の方に、詳細の説明をお譲りしたいのですが、基本的には植物食から動物食へとライフスタイルが変わることで、腸の長さや、おそらく胃から分泌される消化液の変化なども起きているはずです。
さらには、これはカエルにならないと分からないかも知れませんが、精神やものの考え方も変わるはずです。水中生活から、陸上生活に変わり、見るもの聞くもの、がらっと変わりますし、餌となる昆虫などを捕まえるコツなども本能とは別に「学習」するのです。ですからものを考えているのは間違いございません。彼らに「言語」があるのかどうかは「ソロモンの指輪」問題ということになります(手前味噌ですみません)。
いずれにしましても、こうしたカエルの「変態」は、皆さんがご存知の「甲状腺ホルモン」によって調節されています。「甲状腺ホルモン」は2分子のチロシンと呼ばれるアミノ酸残基が結合した基本骨格にヨード(元素記号「I」)が3つあるいは4つ結合した形をとっています。前者をT3,、後者を、T4(チロキシン)と呼びます。
この「甲状腺ホルモン」は水に溶けにくく、油に溶けやすい性質をもつ「脂溶性ホルモン」の代表格で、そのホルモンのターゲットである「甲状腺ホルモンリセプター」は「細胞核」の中に存在します。
脳下垂体前葉と呼ばれる、とても重要なホルモン分泌器官から分泌された「甲状腺刺激ホルモン」によって分泌が誘導された「甲状腺ホルモン」は、細胞核内のリセプターに結合し、ホルモンとリセプターの複合体が様々な遺伝子の上流に存在する「転写調節領域」に結合して、目的の遺伝子の転写を誘導する「転写因子」として働きます。その際、複合体は「レチノイン酸リセプター」などと、ヘテロ複合体を形成したり、甲状腺ホルモンリセプター同士のホモ複合体を形成することが知られております。
こうした「変態」は幼生が十分に成長し、変態する準備が出来たと彼らが感じたとき起きるのでしょう。でも待てよ、それって彼らは本当に感じているのかな?成人式もないし、どうやって、準備が出来たと理解しているのでしょうか???あるいは季節かな?それとも、そもそもプログラミングされた行動?細胞の老化を感じて「変態」しているのかな?
あれ?このままの調子はちょっとまずいですね。本日のは「ホルモンによる変態の調節機構」がテーマですから、この辺で終わりにして、締めます。ただ、彼らはどうやって「変態の準備が出来た」と感じている(?)のでしょうか。これは聴講生の皆様へ、コメント欄での投稿を希望いたします。
えっと、ここまでをシンプルにまとめます。カエルでは
(1)甲状腺ホルモンによって体の内外に変化が起こる
(2)前後、左右、背腹軸に変化は起きない
(3)昆虫のように幼生の体がどろどろに溶けることはない
(4)甲状腺ホルモンには2種類ある
(5)受容体(リセプター)は細胞核内に存在する
(6)甲状腺ホルモンと甲状腺ホルモンリセプターの複合体が遺伝子の転写を調節している
(7)それらの現象を総じて「変態」と呼ぶ
おそらく「無尾目」を例にした「変態」を説明するにはこのくらいで良いはずです。これ以上は必要性が生まれた際に、改めて講義します。次回は昆虫の「変態」についてカエルの「変態」との共通点と相違点を中心に講義を行います。
本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。
ココア共和国
ReplyDelete難解だけど面白い。大発見。
大変面白いブログですね。
ReplyDeleteThank you for your comment. If you can, please inform me about your interests of study on the comment box or via e-mail. Please look forward to the next.
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