Tuesday, August 17, 2010

What is Life? 生き物とは?その大前提を覆す癌について(その3)

既に、残暑お見舞いの季節ではございますが、まだまだ暑い日が続いておりますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

さて、本日は、やっと、「生き物とは?その大前提を覆す癌について」の3回目です。本日こそは「癌」について、お話し出来るはずです。

現代の日本人の、およそ、2人に1人は「癌」によって亡くなると言われております。日本の近代化に伴い、衛生状態、栄養状態、医療が発達することによって、年々、寿命は伸びて行く一方で、脳梗塞、心筋梗塞、癌などの、病気によって、多くの方が亡くなる世の中になって参りました。

同じようなことは、すでに、ペットの世界にも広がりつつ在り、犬にも、癌や、その他の、人と同じ病気が発症するようになっているそうです。

さて、皆さんも、ご親族に「癌」で亡くなった方がいらっしゃるかも知れません。「癌」は恐ろしい病気です。ただ、恐ろしい病気では在りますが、生物学者は、学生のときに、授業において、「DNA修復」、「p53」、「アポトーシス」といったことを、当たり前に習います。ですから、生物学者は、ほぼ全員が、その知識を持っているので、「癌」というものが、どのようなメカニズムで発生するのかを、知っています。さらに、その恐ろしさも理解しています。

先に挙げたいくつかの言葉は、いずれも、一般の方には難しすぎる「専門用語」ですので、そうした言葉を、What is Life?の講義担当教官であるサミぃは、分かりやすく説明する義務がございます。以下に、(1)「癌とは何か」(2)「癌の発生メカニズム」(3)「癌を完治させることの難しさ」、この三つのテーマについて、講義を進めて参ります。

(1)「癌とは何か」
皆さんも、「癌」というのは、恐ろしい病気であることは知っていても、もしかすると、そもそも「癌とは何か」については、あまり、知らないかも知れません。もちろん、あなたが、既に60代後半などの年齢ですと、人それぞれではございますが、「癌」を発症する可能性が高い年代にあると言えます。

「癌」とは、何でしょうか。あちこちで、右手が挙がっている気配を感じますが、ここは、致し方ございませんので、私から、説明させていただきます。「癌」とは、自らの細胞なのでございます。ただ、自らの細胞なのですが、勝手にどんどん分裂増殖して、大きな塊となる一方で、体のあちらこちらに、移動しようとする、厄介者なのです。前回、サミぃは、自らの体の大きさは、絶妙なバランスによって、殆ど変化することは無いと、お話したはずです。それは、体のあちこちの細胞は、体内のホルモンなどの指令によって、細胞の増殖が、コントロールされているからなのです。

「癌」は、このコントロールをある程度、無視して勝手に増殖するのです。さらに、そのための栄養を、自らに集めるための、得意技を駆使します。さらに、「免疫」と呼ばれる、外的(病原菌や癌も対象とする)から身を守るシステムからも、逃れる術を持っているのです。

「癌」には、場所によって、胃がん、肺がん、大腸がん、など、様々なものがありますが、血液にも「白血病」という血液のがんが存在します。では、「癌」とはどうして、そのような、体の厳密なコントロールシステムの言うことを聞かないのでしょうか。実は、それを世界中の研究者が研究しているのです。

もちろん、何もわかっていない訳ではないのですが、仕組みが分かっても、「言うことを聞かせる」ことには、まだ、多くの医者が成功していないのです。ですから、言うことを聞かせる努力をする一方で、外科手術によって、取り除いたり、抗がん剤と呼ばれる、毒で、癌組織を攻撃したりする訳です。

少し、内容が、医学的な方向に行ってしまったので、ここで、もう一度、原点にもどって、「癌とは何か」について、あらためてご説明申し上げます。

1、癌は、死なない細胞です。
2、癌は、未熟な、未発達な、きちんと組織(皮膚とか、胃とか、肺とか)になっていない細胞です。
3、癌は、他の細胞よりも速く増殖します。
4、癌は、もともとは、自分の細胞なのです。
5、癌の細胞は、研究用に、世界中で培養されています。サミぃもたくさん使ってきました。
6、癌は、遺伝子に異常があることが多い細胞です。
7、癌は、他の組織を分解して、どんどん広がっていく厄介者です。
8、繰り返します、癌は死なない細胞です。ただし、これは寿命が無いという意味です。

えっと、まだまだ終わりそうにないので、本日の講義は以上です。次回は(2)「癌の発生メカニズム」、また、その次は(3)「癌を完治させることの難しさ」についての講義を行います。



本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。


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