Thursday, February 21, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その6)


さて、いよいよ最終回も近づいてきたようです。今回は老化と再生医療と若返りについての6回目となります。これまで以下に示す6つのことを紹介してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌
(5)再生医療は生物学者と医師のコラボ
(6)体を健康に保つためには食事、休養、運動が大事だけど、、。

みなさんはきっとご存知でしょうね。老化とは外から見て分かる変化と体の中の変化の両方があるということを。誰しも年を取ると、見た目に変化が現れます。また、筋力や記憶力、感覚能力の低下などもございますよね。しかし、人を死に至らしめる老化現象はやはり免疫力の低下ではないでしょうか。

まだ全てが明らかになった訳ではないのですが、一般的に癌は60歳以降に高頻度に発生することが分かっています。老化すると癌に限らず脂質代謝異常や動脈硬化などが複雑に絡み合って色々な病気が発生します。特に癌に代表される非感染症、つまり遺伝子の異常によって発生すると考えられている病気のほとんどは免疫力の低下と関係しているのではないかと考えられています。

そのメカニズムの詳細はまだまだ研究途中なのですが、それを解決する、あるいは予防するにはやはり若返りが必要となってくる訳です。

ここで私が説明することは私が中学生のときに思いついたことです。つまり、大したことではないかもしれないし、実はすごいのかもしれないアイデアです。でも、今でも全く問題はないし、やれば出来る簡単なものです。

さて、その前にちょっとだけ、「自己と非自己」について述べなければなりません。自己とは自分自身のこと、非自己とは自分以外の存在を意味します。人の体はこの自己と非自己をしっかり見分けることで日々を暮らしていけるのです。ちょっとけがをしただけでそこから出血し、炎症を起こし、痛み、腫れて来るのは人の体が外部からの非自己の侵入を防ごうとしているからです。

そうしたこと、つまり免疫システムがしっかり機能していないとあっというまに体は腐ってしまいます。

一方、再生医療や移植医療を考える上で、この免疫システムはちょっとした障害になります。家族からの臓器提供、あるいはドナーバンクからの骨髄移植、肝臓移植など様々な場面で自己と非自己を見分けて非自己を攻撃する免疫システムを少しだけ弱らせて患者さんの本来の回復を待つという治療が見られます。

ところが、これが自分の細胞、つまり自己のものであれば免疫抑制剤の使用は必要なくなりますし、そうした面でもiPS細胞を用いた再生医療、移植医療は期待されているのですね。

もちろんそうした手術によって失われた臓器を元通りにすることは大事でしょう。必要なものであることは間違いありません。しかし、人は誰しも誕生、成長、そして老化してしまうのです。体が60兆個の細胞から形成されていてそれらの調節を脳が直接的、あるいは間接的に行っている、それを考えれば、あるアイデアが浮かびます。

例えば、既に美容外科では実施されている女性のための女性ホルモン注射があります。エストロゲンですね。エストロゲンは月経周期や骨の代謝、肌の健康をはじめとして女性の体を維持するために非常に重要な役割を果たしています。確かに一時的には効果はあるはずです。特に閉経後の女性には有効な方法かも知れません。

しかし、単一のホルモン注射で危険はないのでしょうか。エストロゲンは脂溶性ホルモンですから、どうやって作られているのでしょうね。牛の胎盤からの抽出でしょうか。ヒトの胎盤でしょうか。おそらく前者でしょうね。

おっと、話を戻します。若かったときを思い出してみてください。中学生くらいがいいでしょうか。驚くほどの記憶力とぴちぴちの肌、徹夜しても苦にならない体力などがあったかと思います。それらは血液中に流れている様々なホルモンの刺激によって(もちろん大元は脳が指令をだす)体中の細胞が元気に活動していたのです。

単一の強力なホルモン注射は弊害があるでしょうし、お金もかかります。また仮にそこに何かが混入していた場合は大変です。私が昔に考えついたのは自らの血液を取っておいて、それを何十年後かに自分に注射する血液バンク構想だったのです。

血液には血球成分と血漿成分があります。体の各部位に指令を出すホルモンは血漿成分にとけ込んでいるので、それを保存する方法さえ確立すればいいのだと思ったのです。既に蛇の毒を中和するための抗血清のように、凍結乾燥する技術は確立しているのですから、例えば中学生の頃に血液の液体成分である血漿を凍結乾燥して血液バンクの自分の口座に預けておいて(貯金)、何十年後かにそれを引き出せばいいのではと思ったのです。

それをやるには医師の協力が必要ですし、実際に効果があるかどうかを検証する必要もあるでしょう。また、口座管理をきっちりしないと別人の血液を自分に注射してしまうことにもなるかもしれません。

このアイデアを思いついた後に、実際は自分のものでなくとも、自分の子どものものでも同じ効果が得られる可能性があるとは思ったのですが、そのために子どもから血液を採取するのもどうかと思いましたので、本来は自分の物がいいのでしょうね。

現在、輸血用の血液、あるいは血友病患者さんなどへの血液製剤の不足を補うために全国の献血センターは必死に献血を勧めています。AKB48のような人気のあるグループが、献血の重要性とともに、私が考えたこのアイデアのことも含めて、世の中にアピールしていっていただけるととても嬉しいです。

自分が医師であればきっともっとずっと若いときから自分の血清(あるいは血漿)を凍結乾燥粉末にしてとっておいたのに、、、。そう思っています。どのくらいの量が一回に必要となるかは実際やってみないと分かりません。でも必ずといっていいほど効果はあるものだと信じています。

体の中でゆっくりと細胞分裂が進んでいるところには実は幹細胞と呼ばれるテロメラーゼ活性の高い特殊な細胞集団が存在していて、体を維持していると言われています。そうしたものを活性化し、細胞内のミトコンドリアを増やし、免疫力を回復し、恋をし、晴れ晴れとした気分で幸せに長生きするためにはやはり自らの血液バンクに頼ることかな?と思っています。

ずいぶん最後は急いでしまって、また専門用語も使ってしまったので「しまったな」と思っていますが仕方ないですね、、すみません。

自分が学んできたことなどを織り込みながらお伝えしてきた「老化と再生医療と若返り」に関する連続コラムは今回が最終回です。どうもありがとうございました。

最後にまとめます。
たった一個の受精卵から始まって、長い年月生きてきた私たちは老化によって様々な障害が発生し、病気にかかり命を落とします。それを少しでももとの状態に戻すには食事、運動、睡眠、なのですが、一方で、若かったときの血液中のホルモンバランスを取り戻すために、自分の血液バンクに預けておいた貯金を引き出す、そうしたことが出来ればきっとかなり改善できるはずです。それにかかるコストや管理方法、効果判定など様々な問題はございますが、一考に値するものではないかと考えています。いかがでしたか、皆さん?



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Tuesday, February 19, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その5)


さて、今回は老化と再生医療と若返りについての5回目になります。この連続コラムではこれまでに以下の5つのことを紹介してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌
(5)再生医療は生物学者と医師のコラボ

今回はいよいよ若返りについて示そうと思います。

これまで何度も言ってきた事ですが、私たちは最初はたった1つの受精卵から細胞分裂を繰り返して60兆個の細胞からなる体となっています。その過程でそれぞれの細胞は皮膚や神経や筋肉、あるいは血液など、様々な細胞へと変化(分化)してきているのです。

細胞自体に分裂回数があり、筋力の衰えや、皮膚の水分含有量の低下、記憶力や様々な感覚能力の低下など、細胞というよりは個体レベルでの老化によって、体のあちこちに痛みや、障害が発生してしまうのですね。

そうしたことから全ては老化と簡単に片付けられてしまっては、老いることは悪い事だと考えてしまう方も多くいらっしゃる事だと思います。

私も最近では老眼鏡が必要な年となり、きっとこの後色々な肉体的な衰えを実感する事になってくるのでしょうね。

さて、今回はそうしたことをどうやって改善するのか、つまり若返る方法について書いてみようと思います。

みなさんは、もし若返る事が出来るとしたら、何歳に戻りたいですか?40歳?30歳?20歳?それとも10歳?

特に女性の場合は外見的なものとして、肌の変化を気にされているのだと思います。他にも太りやすくなってしまっているとか、男性でも疲れやすいとか、体力が続かないなどなど。

そうしたものを改善するためにどのようなことをされていらっしゃいますか?あるいは実際にやらなくともどうすれば若返る、あるいは老化を防げるとお考えでしょうか。

もちろん、それは食生活であったり、十分な休養であったり、適度な運動などですよね。それらが不足しているので、老化は進んでしまうと考えられています。

ではそうした上に挙げた3つのこと、つまり(1)食事(2)休養(3)運動、これらから得られるものとは何でしょうか。肉体にあるいは細胞にどのような影響をもたらしているとお考えですか?

食事は当然の事ながら体を健康に維持するために必要な栄養素を補うためですよね。年を取ると、代謝すなわちエネルギーの消費(合成も本来は代謝の一部ですが、ここでは分かりやすく消費=代謝と説明致します)が低下してきますので、タンパク質、脂肪、炭水化物、そしてホルモンの産生や免疫力の維持に必要なミネラルやビタミンなどもバランスよく必要となって参ります。

休養は疲れを取り除き、体の各部位にエネルギーを供給するとともに、臓器や器官、細胞が作り出した老廃物を体外に排出する事も含まれています。

そして、運動、これは実はとても重要です。なぜなら、体を構成する筋肉は刺激を受けて活性化し、付加をかけることで発達し、それらがないと衰えてしまうからです。筋力の増加は代謝を上げる事にもつながります。運動はただ動いているのではなく、絶えず脳が指令を出し、各部位からの情報を得て、体が活性化状態になるのです。本来、狩猟採集のために活動をしていた本能を目覚めさせる事にも繋がると考えられています。

さて、しかし、それら3つのことが本当に出来るでしょうか。私たちの体が細胞で出来ていて、ゆっくりとした細胞分裂が続いていることで維持されている事を考えれば、それらを全身的に変化させる方法がきっとあるはずです。

私はまだ挑戦している訳ではありませんが、その方法を中学生時代に発見しました。私がもし美容関係の医師(美容外科)をしていたとしたら、きっとそれを実践しているはずです。

今回は前振りが長くなってしまったので、実際の方法は次回にご紹介してみようと考えています。もし、皆様の中で、その答えが既にお分かりの方がいらっしゃったら是非コメントやメッセージをお願い致します。

医師や看護師の方も多くご覧になっていらっしゃるようですので、きっと正解をお分かりの方も多くいらっしゃる事でしょうね(^_^)


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Sunday, February 17, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その4)


さて、今回は老化と再生医療と若返りについての四回目です。このコラムではこれまで以下に示す四つのことを示してきました。

(1)人の体は60兆個の細胞で出来ている
(2)ゆっくりとした細胞分裂が続いている事で体が維持されている
(3)人の体に寿命があるように、細胞にも寿命がある
(4)不死化した細胞は癌

今回は再生医療について示します。

人の体はうまく出来ていて、赤ちゃんとして生まれて、中学生、高校生くらいに男性は男性らしく、女性は女性らしい体つきになり、細胞の寿命がつきることや、様々な老化の蓄積として、最終的には死に至ります。

多分、この寿命が200歳や300歳になることはないでしょう。長くとも100歳くらいという今の状況は変わらない事だと思います。だからこそ、その短い一生をいかに有意義に過ごすかに、私も含めて多くの人が挑戦し続けているのでしょうね。

さて、みなさんは「再生医療」という言葉を聞いた事がございますか?再生医療というのは簡単に言うと、失われてしまったり、悪くなってしまったりした部分を細胞を加工して作った新しい部品と交換してしまおうという考えです。

みなさんはトカゲの尻尾が切れてしまってもまた生えてくると聞いた事があるかと思います。あれは、切れてしまった部分の細胞がもとの尻尾を細胞分裂によって「再生」しているのですね。でも、実は爬虫類の再生能力は完全ではなくて、再生されたトカゲの尻尾の中の骨は不完全だと言われています。

多分何回切れても生えてくるのだと思いますが、見た目ほど再生能力は完全ではないようなのです。この再生能力の高さは両生類や魚類の方が高く、両生類であるイモリの腕は切断してもきちんと再生されます。どうも高等生物(と言いたくないのですが)ほど、再生能力は衰えていくようですね。

では、人には再生能力が無いのかというとそうでもありません。ちょっとした切り傷や擦り傷などはしばらくすると治りますし、軽度の火傷であれば、皮膚の下の方から新しい皮膚が作られてきて、やがて綺麗に置き換わります。

他にも肝臓は非常に再生能力が高い臓器として知られていて、半分以上を切り取っても数ヶ月後にはもとの大きさにまで再生されます。

まだ、そうした再生のメカニズムは完全には分かっていませんが、多くの研究者によって必要なタンパク質や遺伝子などの情報が蓄積されてきて、今では特にES細胞やiPS細胞を目的の細胞に分化させる事も可能になってきました。

ここではES細胞や、iPS細胞について述べてしまうと長~~~くなるので、少しにします。

このコラムでは最初に私たちの体はたった一つの受精卵からスタートしているとお伝えしているはずです。受精卵は何度も細胞分裂を繰り返す事で、皮膚、脳、腸、神経、血液などなど様々な種類の細胞となり、体を作り上げてきました。

つまり、最初の受精卵は複雑な仕組みによって体を構成しているすべての種類の細胞に変化(分化)することが出来る(出来た)訳です。その仕組みがかなり分かってきたのですね。

ES細胞やiPS細胞というのはこの受精卵に近い状態の細胞で、ES細胞は受精卵から赤ちゃんに育つ途中の細胞から作られ、一方iPS細胞は既に大人になった体のどこかの細胞から作られるという違いがあります。

iPS細胞は本人の細胞をもとにして作るので、上に述べた様々な複雑な仕組みをその細胞に応用すれば、神経にも、皮膚にも、あるいは精子にすら細胞を変化(分化)させられるわけです。そうして作られた皮膚や臓器があれば、火傷や癌などで失われた部分を置き換える「再生医療」が確立するはずなのです。

もちろんこうした行為は男女の営みによる自然な流れとは大きく異なっていますので、神の冒涜だと反対される方も多くいらっしゃるかもしれません。短い一生を考える上ではそこまでするか?と思われる方もいるかもしれませんね。

人の価値観は様々ですが、ちょっと蚊に刺されただけでかゆくて薬を使ってしまうのが人情です。火傷が自然に治るまではずっとヒリヒリして辛いものです。同じように例えば、インスリンの分泌(ぶんぴつ)が極端に低下してしまった糖尿病患者さんに再生医療によって作り出した正常な膵臓を提供できるとしたら、患者さんのQOL (Quality of Life:生活の質)は見事に改善されるでしょう。あるいは、事故で失ってしまった腕や脚を元通りに出来たとしたらどうでしょうか。

そうしたことを目指すのが再生医療の発展に挑む生物学者と医師の共通の考えなのです。

今回の内容をまとめます。
・受精卵から体が作られてくる仕組みが分かってきた
・ES細胞やiPS細胞という受精卵に近い性質の細胞をつくることが出来るようになってきた
・それにその仕組みを応用すれば、様々な細胞を作り出す事ができる
・困っている患者さんを救うための再生医療は生物学者と医師のコラボレーション



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Friday, February 1, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その3)


さて、少し日が空いてしまいましたが、老化と再生医療と若返りについての三回目です。

これまでこのコラムでは以下の三つのことを示してきました。

(1)私たちの体はたった一つの受精卵から始まって、60兆個もの細胞からなるからだとなっていること
(2)緩やかな細胞分裂が続いているために体が維持されている井子と
(3)細胞には分裂する事の出来る回数が決まっていて、それが老化と関係していると考えられていること

そこで今回は細胞の不死化というテーマでお話し致します。

誰しもいつまでも若く逞しく、そして長生きしたいと思うものです(そうでも無い人もいるようですが)。昔の権力者の中にも不老長寿を望んだ人がたくさんいたようです。

前回、細胞は分裂できる回数が決まっていてそれを終えると死んでしまうとご紹介しました。この細胞分裂の回数制限(回数券?)はテロメアと呼ばれる部分がすり減っていって無くなってしまうことで決まっている事が分かっています。

では、そのテロメアが短くなるのを防ぐ事が出来ればどうでしょうか。それが出来れば細胞分裂の回数制限は無くなりそうです。細胞分裂の回数制限が無くなれば、いつまでも若く生き続けられそうです。

私たち人間から見ると、永遠に生きているように思える植物や、無限に分裂を繰り返しているバクテリアなどは一体どうしているのでしょうか。

実は彼らは短くなったテロメアを再び長くするテロメアーゼという酵素を持っていて、その働きでほぼ無限に細胞分裂できる仕組みがあるそうなのです。そうした仕組みがあるおかげで、植物の場合は年老いた老木でもほぼ永遠に近いほど生きる事が出来るそうなのです。

そうしたことが出来れば人も長生きできそうですよね。実は私たちの体の中どんどん細胞分裂を始める細胞が生まれる事が分かっています。しかし、その細胞が原因となって、毎年多くの方が命を落とされています。

それは一体何でしょうか?賢明な方はご存知ですよね。それが「癌」です。

癌は不死化した細胞だと言われています。細胞が生きているとは細胞分裂していることを意味するので、細胞の死とはその逆に細胞分裂できなくなったことを意味します。

癌細胞には細胞分裂の回数制限がありません。体の中で他の正常な細胞よりも速く繰り返し分裂し、体のあちこちに広がっていくことで、人を苦しめて、死に至らしめます。

細胞の不死化とはそうした無限に細胞分裂を繰り返す癌を生み出す事にもなるのです。

ちょっと最後は恐ろしい話になってしまいましたね。今日の話をまとめますと、細胞の寿命が無限になれば老化しないと思いますが、不死化した細胞、癌は決して不老長寿はもたらさないという事です。きっと、何か理由があるのでしょうね。

さて、次回は再生医療のお話に進みます。


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Tuesday, January 29, 2013

What is Life? 老化と再生医療と若返りについて(その2)


さて、老化と再生医療と若返りについての第二回目です。前回は人の体は60兆個の細胞からなっていて、緩やかな細胞分裂が続いていることで体が維持されていることを説明致しました。

この仕組みがいつまでも続くのであれば、きっと寿命はなが~く続くのですが、そうでもないというのが今回のお話です。

今回は「細胞の老化」について説明します。前回お話ししたように体の中では盛んに細胞分裂を続けている場所と、そうでない場所があります。みなさんは老化と聞くと、記憶力が低下したり、運動能力が衰えたり、あるいはしわやシミが増えたり、耳や目が衰えたりすることを知っていますよね。

まだそうしたものの本当の原因は完全には分かっていないのですが、細胞を用いた研究によって、老化あるいは寿命とは何であるのかはある程度分かってきました。

みなさんが年を取ると、「老化」します。同じように体を構成している細胞も「老化」するのです。

細胞が老化すると細胞分裂が出来なくなります。そうなると、細胞はやがて死んでしまいます。細胞分裂が出来なくなって、細胞が死んでしまったら、本人もやがては死んでしまいます。

人の一生に限りがあるのと同じく、細胞にも細胞分裂できる回数に限りがあるのが分かったのは1961年のことです。当時スタンフォード大学の解剖学教室教授だったレオナルド・ヘイフリック博士はあるとき、正常な細胞を培養しているとそれ以上分裂できなくなることを発見しました。

ヘイフリック博士はその原因を解明することは出来ませんでしたが、その後、それが遺伝子DNAの端っこにあるテロメアと呼ばれる特別な部分が細胞分裂によって少しずつ短くなり、それが無くなると細胞分裂が出来なくなることが分かったのです。

このテロメアを発見した人はノーベル賞を受賞していますが、面白い説明をしています。

細胞をスポーツシューズに例えて、靴ひもの恥じっこにある透明なテープが巻かれている部分をテロメアだと説明しています。この端っこの部分がなくなると、靴が崩壊してしまう(細胞が死んでしまう)のだそうです。

今回の話をまとめると、本人の老化とは別に、細胞にもテロメアという靴ひもの端っこが短くなり、終いには分裂できなくなって、遂には死んでしまうという「老化」があるということです。

次回は「細胞の不死化」について説明します。


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Monday, January 28, 2013

What is Life? 老化と再生医療と若返りについて(その1)


What is Life? 老化と再生医療と若返りについて」(その1)

さて、今回から数回に分けてみなさんが日々気にしている(かもしれない)「老化と再生医療と若返り」について書きます。

ここでは、私が大学で生物学の授業で習ってきたことや、これまでの研究活動を通して学んできたことなどを交えて、出来るだけ難しい言葉を使わずに、どうすれば幸せに生きて行くことが出来るのかを伝えるのがテーマです。

第一回目の今回は、そうしたことを理解するための導入になります。生物学的に老化や若返りなどを理解するには、最低限知っておかなければならない基礎知識があるのです。

さて、まずは私たちの体が何から作られているかを考えてみましょう。皆さんもご存知のように、私たちの体は細胞という小さなものの集合体です。その数は何と約60兆個と言われています。世界人口の1万倍の数の細胞から私たちの体は成り立っているのですね。

それらのたくさんの細胞ははじめはたった一個の受精卵からスタートしました。あなたのお父さんとお母さんの愛の結晶として誕生した受精卵はその後、何度も何度も細胞分裂を繰り返して赤ちゃんにまで成長してお母さんの体の中から外の世界に出てきたのです。

こうしてfacebookで私の記事をご覧の皆さんは例外無く、この流れでこの世に誕生しているはずです。そうして幼少期、少年少女期、思春期、青年期を経て、現在に至っているはずです。

ところが人に限らず殆どの生物には寿命というものがあります。永遠に生き続けることが出来る生物は残念ながらまだ見つかっていません。何千年も生き続けていると言われている大木や盆栽などはごく稀なケースで、人間の場合は長くても100年くらいだと言われています。

さて、年を取って困ることと言えば何でしょうか、阪神タイガースの金本選手のように満足したバッティングが出来なくなることでしょうか?あるいは、北島選手のように平泳ぎで世界記録を出せなくなってくることでしょうか?それとも少し駅まで走っただけで夜中に足がつることでしょうか(苦笑)?

もちろんそうしたことも含まれるのですが、やはり体のあちこちに衰えが出てきたり、外面的な変化を伴う老化ではないでしょう。

では、老化とは一体なんなのでしょうか?

先ほども示しましたように、私たちの体は60兆個の細胞から出来ていて、たくさんの細胞分裂の結果として、今の体になっています。ではもし、中学生時代のような成長がずっと続いていたとしたらどうでしょうか。今頃みんな10 mの巨人になっているかもしれません。ところがそうはなっていませんよね。

背の高さや、足の大きさ、目の形、髪の毛の色など、人によって様々な違いはありますが、大体高校生頃に一定のサイズにまで達したら、そこでそうした成長は一旦止まります。盛んな細胞分裂による成長は一段落するのです。

では体の中で細胞分裂は全部止まってしまったのかというと、そうでもないのです。胃や腸の粘膜や皮膚や髪の毛、そして血液細胞(赤血球や白血球)など大人になっても盛んに細胞分裂を続けている場所ですし、その他の部分もゆっくりではありますが、細胞分裂は続いています。

だから、ある一定期間が経つと、体の細胞は全部入れ替わっている計算になるのです。それがどのくらいの期間になるのかというのは色々な説はありますが、ドラえもんによるとおよそ2ヶ月だそうです。

人の体はそうした形で、いつも古くなった細胞が死に(垢となって剥がれていく)、新しい細胞が増えて、毎日毎日活動できるように保たれているのです。そうした仕組みのことを専門用語で「ホメオスタシス:恒常性の維持」と言います。

ちょっと難しくなってきたので、今日はこの辺までにします。今日の話をまとめると、皆さんは細胞分裂を繰り返して60兆個の細胞からなる体に成長し、その後もゆっくりと細胞分裂は続いているので、体が維持できているということですね。

さて、次回は老化と不死化について述べます。



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Saturday, January 19, 2013

What is Life? iPS細胞について(その4)

最近テレビは殆ど見ていないので、どの程度山中先生について報道されているのか、正直分かりません。毎週見ているのはNHKでやっている「イサン」とNHK教育の「みんなの手話」くらいですね。録画ですが、。

 さて、始めましょう。今回はiPS細胞についての4回目です。前回までに「再生」「分化」「脱分化」「初期化」「幹細胞」「ES細胞」「ヒトゲノム(遺伝子)」そして、「iPS細胞」というキーワードを用いて説明してきました。

 前回の最後にやっと「iPS細胞」が登場しましたね。「iPS細胞」は「ES細胞」と同様に、様々な細胞に分化する能力を持っているもので、「ES細胞」が抱える(1)倫理的問題と(2)免疫の問題の両方をクリアーするものだと簡単に説明致しました。 

今回はもう一度「iPS細胞」について説明し、この技術の将来における可能性などについてご紹介したいと考えています。 

前回のおさらいです。山中先生は「ES細胞」が抱える(1)倫理的問題(2)免疫の問題の両方を、「初期化因子」を見つけ出して解決しようとなさったのです。 

そして、60億文字からなる遺伝子の百科事典の中のあちらこちらに存在する3万行の文章の中から、「ES細胞」にだけ見られるものを24個見つけてくることが出来たのです。

そしてその後の研究で細胞を「初期化」するには24個のうちのたった4つの遺伝子があれば大丈夫だということを突き止めて、世界で初めて生物学分野の最も有名な科学雑誌の1つにご発表されたのです。

 もう少し詳しく説明しましょう。山中先生は皮膚細胞を使って、この4つの遺伝子を皮膚細胞に入れて、その細胞の中で4つの遺伝子を働かせてみました。これまでは皮膚細胞らしい形をしていたものが、形が変わり、そして、特別な条件で培養すると、どんな細胞へも「分化」出来る細胞、つまり「iPS細胞」となったのです。 

考えてみてください。もしあなたの皮膚細胞(それを取ってくるのはもしかしたら少し痛いかもしれませんが、我慢してください)をとってきて、四つの遺伝子を組み込み、何にでも「分化」させることが出来るiPS細胞を作ることが出来るとしたら、、、。

 これならば、将来赤ちゃんとして誕生してくる可能性のある「胚」を使う訳ではないので(1)倫理的な問題は殆どありません。 

さらに、自分自身の細胞なので「免疫の型」は同じですから、拒絶反応は起こりませんし、困ったときに目的の臓器も理論上は作ることが出来るはずです。

 ですから、もしあなたがお酒の飲み過ぎで肝臓が悪くなってしまったら、以前作っておいた自分の「iPS細胞」を使って肝臓の細胞を作ればいいですし、やけどをしてしまったら、皮膚の細胞を作ればいいのです。もはや大金を使ってドナーを探す必要はなくなるのかもしれません。 

病気で苦しんでいる人、事故などで失ってしまった体の一部を取り戻したい方、あるいは若さを取り戻したいと考えている人、そうした人に夢を与える可能性をもった技術なのです。 

しかし、諸手を上げて大歓迎という段階には残念ながらまだ至っておりません。安全面や倫理面の問題も残されています。当初用いる遺伝子4つのうち1つが癌細胞で働くものであったため、作成したiPS細胞が癌化してしまうという問題もありました。現在は3つで同じことが出来ることが分かりましたし、様々な改良によって、癌化を防ぐことが出来るようになってきたようです。

 一方で、iPS細胞に関する新たな「倫理的問題」も発生してきました。

 例えば、この細胞を特殊な環境に置いてやると、あらゆる細胞へと「分化させる」ことが出来ます。極端な例では、iPS細胞から精子や卵子も作り出せるはずなのです。実際に卵子はまだ難しい面があるようですが、精子は作ることが出来たそうです。 

雌のマウスを用いた実験では、それらを使って受精させると、自分のコピーが出来ることがあきらかになったようです。ま、もちろん若干難しい点もありますが、原理的には可能だということです。

 iPS細胞はそうした移植医療、再生医療の分野だけではなく、原因や治療法が無い、所謂「難病」の研究にも活用することが可能です。かつて「筋萎縮性側索硬化症:ALS」という難病の研究に携わっていた自分としては、iPS細胞を使うべきはまずはこちらではないかと考えています。

 「筋萎縮性側索硬化症」は手足の先から運動神経が徐々に死んでいく病気で、手足が動かなくなり、さらにその病気が進行すると寝たきりとなってしまうものです。感覚神経には影響がないので、分かりやすく言うと、蚊に刺されてかゆくてもかけない、そんなことが起こる訳です。

 もちろんこの例は実際にこの病気で苦しまれていらっしゃる方からは怒られてしまうとは思うのですが、一般の方々にこの病気について理解していただきたいと考えてのことですので、どうかお許しください。

 例えばこの「筋萎縮性側索硬化症」のように、遺伝子の異常によって起こる病気の原因を調べるために、患者さんの組織を採取するというのはかなり困難です。ですから、患者さんの細胞をほんの少し頂いて、iPS細胞を作って、そこから研究に必要な細胞を「分化」させて、実験室においてその原因を突き止めるための研究に生かせばいいのです。

 そうしたこれまででは出来なかったあらゆる研究への可能性がiPS細胞にはあります。この技術が確立するには様々な幸運と環境の整備がたまたま重なったことも影響したことだとは思います。でも、それを本当に世の中に役立つものを作りたいと真剣に考え、現在も研究に邁進されていらっしゃる山中先生を大変尊敬申し上げております。 

こうして離れた場所から、山中先生への尊敬の念を表するために書いてきた「iPS細胞について」の連続コラムは今回が最終回です。用語の解説や歴史的背景、あるいは例え話など、そうしたものが必要であるために、もしかしたら「長過ぎだよ」とお叱りを受けるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

 山中先生、本当におめでとうございます。100年に1度、いや500年に1度の大発見を成し遂げた先生の偉業は将来ずっと私たちの励みにもなりますし、現在困っている方々を救うための礎となることは間違いありません。 

本当におめでとうございます。そしてありがとうございます。バイオの研究に携わる人間として、その末席からお祝い申し上げます。みなさんお読みくださいましてありがとうございました。何かご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。

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Thursday, January 17, 2013

What is Life? iPS細胞について(その3)


さて、それでは始めましょう。今回はiPS細胞についての3回目です。前回までに様々な生物学の基本について説明して参りました。

これまでの流れを簡単に振り返ってみましょう。まず、私たちはたった1個の受精卵から始まり、繰り返し細胞分裂を行うことで、細胞が「分化」し、およそ60兆個からなる体に成長しているのです。

しかし、怪我をするとその傷の部分に「再生」が起こり、細胞の「脱分化」や「幹細胞」が集まってくることで傷はほぼ完全に「修復」されるのです。

この「再生」や「脱分化」に関する謎を明らかにするきっかけとなった研究は、この度、山中先生とともにノーベル医学生理学賞を受賞されたイギリスのケンブリッジ大学教授ガードン博士が行ったカエルを用いた「初期化」に関する一連の研究です。

そうした様々な研究がなされている際に見つかってきたものが、この後説明する、動物の受精卵から細胞分裂を何度か繰り返した状態の「胚(はい)」から作り出された「ES細胞(胚性幹細胞:embryonic stem cell)」なのです。

これまで説明してきましたように、受精卵は将来体の全ての細胞の元になります。つまりどんな細胞にも「分化」する能力があるのです。受精後に何回か細胞分裂している間は全ての細胞が同じ性質、つまりどんな細胞にも「分化」できる能力を持っているのですが、ある時期を過ぎてしまう(要するに成長してくる)と、それぞれの細胞は「分化」を始めてしまうので、そうした性質は段々と薄れてしまうのです。

逆に考えてみましょう。受精卵から少し分裂したくらいの時期で細胞をバラバラにしてシャーレで培養してみると、どうでしょうか。それらの細胞はまだどんな細胞へも「分化」出来る状態なのですから、それらの細胞を神経細胞にしたいならそのための培養条件にし、皮膚細胞にしたいなら皮膚細胞にあった培養条件にするだけで、自在に細胞を「分化」させられるのです。

こうした細胞のことがまさに「ES細胞」なのです。この技術が生まれたことで、世界中の研究者や医師は本当に熱狂しました。どんな細胞にも「分化」させることが出来るのだったら、事故で失われてしまった足や、病気で機能を失ってしまった臓器でさえもこの「ES細胞」を使うことで作ることが出来るのではないかと、、。

確かにそれは理屈の上ではそうです。しかし、この「ES細胞」をそうした臓器移植を含む再生医療に応用するにはとても大きな問題が2つあったのです。

(1)まずは倫理的な問題です。受精卵と簡単に言いますが、それはどこから得てくるのでしょうか。私は先日「救世主兄弟」に関する連続コラムにおいて、人工授精の仕組みを説明しました。簡単に言うと、排卵誘発剤によって複数の卵子を得、精子と授精させ、培養した後に元気なものを母親の子宮に戻すのです。

戻す受精卵の数は基本的には1個です。そうでないと双子や三つ子になってしまうからです。でも顕微鏡を覗きながら行う顕微授精は得られた卵子全部に行うようです。つまり、母親の子宮に戻されなかったものであっても、もしそれが選ばれていたらその受精卵(正確には胚)が将来の夫婦間の子どもとなっていたかもしれないのです。

赤ちゃんとして生まれることが出来る運命を人の手で決める訳です。生まれてこない運命も人の手で決める訳です。さらに、この余った受精卵(胚)は「ES細胞」研究のために使われることもあるわけです。

現時点では主要国では法律によってES細胞研究に関する倫理規定が厳しく決められていることで、むやみやたらと研究することは出来ません。でもこの技術ならクローンを作ることも原理的には可能ですし、それよりも命とは何ぞや?という倫理問題がどうしてもつきまとう訳ですね。

(2)もう一つの問題は免疫の問題です。こちらも先日の「救世主兄弟」に関する連続コラムで示しましたが、人の免疫はお父さんとお母さんから一つずつもらった合計二つの遺伝子の組み合わせで決まるのです。それが完全に一致していないと移植された臓器は免疫拒絶(拒絶反応とも言う)が起こり、大変なことになります。

もちろん多くの場合は免疫抑制剤の使用によってそうした問題を解決するのですが、その副作用なども考えれば免疫の問題が無い方が好ましいのです。

「ES細胞」は言って見れば、どっかの男の人の精子と、どっかの女の人の卵子が授精して得られた胚を使って作る訳です。ですから、それが臓器の移植を必要としている患者さんと免疫の型が一致することなどおよそ望めません。

様々な培養条件の操作によって望みの臓器が作れたとしても、この免疫の型の問題を超えることは出来ない訳です。

こうした大きい2つの問題が議論されていた際に、ガードン博士による、カエルの核移植実験から得られた「初期化因子」の存在(の可能性)と、「ES細胞」がもつ特殊な性質、そしてヒトゲノムの解読、インターネットの進歩、そして医師としての山中先生の情熱、こうしたことが元になって山中先生は「ES細胞」を使わないで済む移植可能な万能細胞(後にiPS細胞と命名)のアイデアが浮かんだそうです。

簡単にそのアイデアを紹介します。まず、人の遺伝子DNAは長い長い百科事典のようなものだと説明してきました。その中の文字の数はヒトの場合何と60億文字もあるのです。400字詰め原稿用紙にして、1500万枚にも達する長い長い百科事典なのです。

ところが、その百科事典は意味不明な部分が大部分で、きちんとした文法によって意味が分かるところは数えてみるとおよそ3万行しかないことが分かってきたのです。これがヒトゲノムプロジェクトの最大の成果なのです。

この3万行とは百科事典のあちらこちらに点在していて、それぞれの文に含まれている単語は人によって少しずつ違う訳です。そうした3万行の文が皮膚の巻、筋肉の巻、神経の巻などに分類されているのが、ヒトゲノムの全体像だと言って問題ないかと思います。

さて、3万行は実は遺伝子の数に相当します。分かりやすく文が3万あるのだと説明しましたが、実際は遺伝子の数を意味するのです。以前から申し上げておりますように、働いている遺伝子の違いが「分化」そのものと言える訳です。翻って見れば、「ES細胞」の巻もそこにはあると言うことです。

もちろん、「ES細胞」の巻と「皮膚細胞」の巻には同じ文章も多少は含まれています。しかし、受精卵も含めて様々な細胞を比較していくと「ES細胞」の巻にしか書かれていない特別な文章が見つかってきた訳です。こうした作業はヒトゲノムプロジェクトや、インターネットの普及と、世界中の研究者が調べた遺伝子の情報が国際的なデータベースに保管されるようになってきたからなのです。

山中先生は受精卵やES細胞の巻にしか書かれていない文章(遺伝子)を最終的に24個発見しました。全部で60億文字からなり、さらに3万の文章があちこちに点在している複雑な状態からパソコンやインターネットを駆使して、この24個を見つけ出してきた訳です。

まだその段階ではこの24個がどのように関係しているのか、本当に「ES細胞」の特徴をその24個の文章だけで説明出来るかどうかは分かりませんでした。

ここからがものすごい仕事量だったはずです。培養している細胞に、この24個の遺伝子を様々な組み合わせで投入し、細胞の中でそれらの遺伝子を働かせてみると、場合によっては細胞が「ES細胞」と同じ性質に変化することが分かったのです。つまり「初期化」することに世界で初めて成功したのです。

しかし、当時は韓国の大学でヒトのES細胞を作ることが出来たと発表した教授の研究が実はまるっきりねつ造だったことが明らかとなり、山中先生も大発見をしていたにも関わらず、慎重に研究を進めていらっしゃったそうです。もし、不確定なものがあったまま発表し、やっぱり間違いでしたとはとても言えない世界状況にあったわけです。

その後の成果については既に皆さんがご存知の通りです。最終的に4つの遺伝子が必要だということを突き止め、それを世界一の科学雑誌において発表されたのです。そこにはライバルがいたことや、様々な幸運があったことなど、色々な逸話があるようですが、その辺に関してはきっと私よりも皆さんの方がお詳しいでしょうね。

さて、駆け足で「iPS細胞」の誕生まで説明してきました。今回は「ES細胞」や「ヒトゲノムプロジェクト」、「免疫」など様々なキーワードが登場しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。

「免疫」に関しては私が以前書きました「救世主兄弟について」の連続コラム(10月5ー7日)が参考になるかと思いますし、生物学の基礎的情報に関しては同じく「老化と再生医療と若返りについて」の連続コラム(9月17-29日)が理解に役立つかと思います。

ご興味がございましたらそちらもご覧下さい。もし見つけられなかった場合はご連絡ください。URLをお伝えします。

さて、今日のまとめです。

今日は主に「ES細胞」に関して、その特徴と問題点について説明し、大きな問題が2つあるとお話ししました。1つは倫理問題、もう1つは免疫の問題です。それをどちらも解決するものとして「iPS細胞」が誕生した訳です。

まだ「iPS細胞」がどのようなものであるかの説明が出来ていませんので、それらについては次回「iPS細胞について(その4)」で採り上げたいと思います。お楽しみに。

本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。

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Wednesday, January 16, 2013

What is Life? iPS細胞について(その2)



iPS細胞に関してここ数日テレビや新聞で報道されたことで、多くの方がiPS細胞を開発した山中伸弥先生のお姿をご覧になられたことでしょう。凛々しいお顔に優しい笑顔、そして格好いい眼鏡。私も少しあやかりたいと思っています。

さて、今回はiPS細胞に関しての2回目です。この連続コラムではこの技術がなぜノーベル賞を受賞するほど注目されているのか、或は今後の再生医療にどれだけ貢献する可能性を秘めているかなど、分かりやすく解説したいと思います。

前回はiPS細胞とは何かを説明するために「再生」「分化」「脱分化」「初期化」などの用語に関する解説を行いました。

今回はその続きです。

まず簡単に前回の流れを復習しましょう。体を構成する細胞は様々な部位において、様々な特徴を持っていて、これを「分化」している細胞と呼びます。そして、カエルを使った実験結果から、一度「分化」した細胞の核を卵に移植すると、それまで非常に長い遺伝子DNAの百科事典の中で、その細胞専用の巻を開いていた(分化していた)ものが、一旦全てのページを閉じて(初期化)新しくまたそれぞれのページを開き始めることが分かった訳です。

このことは傷の修復などに見られる「再生」現象に細胞の「脱分化」が関係している可能性を示し、またある特定の条件さえ見つけ出すことが出来れば「分化」した細胞を「初期化」することが可能だということが予想された訳です。

さて、ここでまた別な新しい言葉を持ち出してこなければなりません。それが「幹細胞(かんさいぼう)」と呼ばれるものです。幹細胞と肝臓の細胞(かんさいぼう)は読み方が同じなので混乱することが多いのですが、ご了承ください。

幹細胞と言うのはこれまで述べてきた「再生」現象を説明するための一つのアイデアから発見されたものです。もう少し詳しく説明しましょう。

前回イモリの肢を切断した際に起こる肢の「再生」は「脱分化」によって起こると説明しましたが、それだけでは実は説明がつかないことがあるようなのです。おそらくイモリのような両生類は再生能力がとても高いので、「脱分化」も起きているとは思うのですが、それ以外にも「幹細胞」による「再生」も起きていると考えられています。

「幹細胞」に関しての説明がまだでしたね。これはわりと最近に見つかったもので、体が維持されているメカニズムを実にうまく説明するものなのです。

「幹細胞」というのは体のあちこちに存在している「分化」途中の細胞のことです。どういうことかと言うと、例えば皮膚を考えてみてください。私たちは普通あまり皮膚の「再生」を意識すること無く生活しております。

でも、子どもの頃を思い出してください。今でこそ「紫外線」によるシミ、ソバカス、メラニン色素の沈着などと騒がれていますが、夏休みに海水浴に行ったりすると、真っ黒に日焼けして、その後で皮が剥けましたよね。実はあれは紫外線を大量に浴びたことによる軽い火傷のようなもので、皮膚の下の方に存在する部分で、急いで傷ついた皮膚を再生する活動が起きた結果なのです。

同様に、体のあちこちにはその組織に必要な細胞を作り出す部分があって、そこにいつも新しい細胞を送り出す役目をしている特殊な細胞があるのです。その細胞のことを「幹細胞」というのです。

皮膚と同様に、骨髄にも常に血液細胞を作り出している「造血幹細胞」がいますし、最近では小腸や、肝臓にもそうした「幹細胞」が存在すると言われています。

少し説明が長くなりましたが、そのように「幹細胞」は完全に「分化」していない状態で、細胞分裂をすることで新しい細胞を送り出す役目を持っているのです。

さて、みなさんはきっと、これまでに何度か「ES細胞」という言葉を聞いたことがあるでしょう。iPS細胞関連のニュースでも「ES細胞」という言葉は頻繁に使われていると思います。

この「ES細胞」も実は「幹細胞」の一種なのです。しかし、この「ES細胞」は皮膚や血液を作る幹細胞よりももっとずっとずっと前の段階、つまり受精卵からまだそれぞれの細胞が「分化」していない頃の状態を維持している特別な「幹細胞」なのです。

「分化」の程度を文字で簡単に示すと以下のようになります。

受精卵→ES細胞→→→→→→→皮膚幹細胞→→皮膚細胞

ここではES細胞の作り方やその倫理的問題などはあえて採り上げません。後でまとめて示すからです。

さて、ES細胞とiPS細胞の一番の共通点は、特定の条件を揃えてあげることで、基本的にどんな種類の細胞へも「分化」させることが出来るという点です。ですから、火傷によって皮膚移植が必要になったとき、白内障などで網膜の移植が必要となった時、肝硬変で肝臓移植が必要な時など、どんな細胞にも「分化」させられるES細胞やiPS細胞はそうした問題を解決出来るのではないかと期待されているのです。

少し長くなってきましたので、本日はここまでにします。iPS細胞開発のきっかけはこのES細胞だったのです。次回説明しますが、山中先生はこのES細胞が持つ問題点をなんとかしたいと考えてiPS細胞開発に挑戦なさったのだそうです。

今回の話をまとめます。

「再生」において「脱分化」とともに「幹細胞」の活躍も発見された。
「幹細胞」が体のあちこちにあって、体を維持している。
「ES細胞」はもっと初期段階にある「幹細胞」の一種
「ES細胞」も「iPS細胞」もあらゆる細胞に「分化」させることが可能

次回は「iPS細胞誕生」あたりを解説します。

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Tuesday, January 15, 2013

What is Life? iPS細胞について(その1)


みなさんも既にご存知のように、京都大学の山中伸弥教授に今年のノーベル医学生理学賞が贈られることが決まりました。この分野での日本人受賞者は免疫の仕組みを明らかにした利根川進先生以来です。

バイオの研究一筋に生きてきた私にとって、山中先生の受賞は大変嬉しく、また誇らしく思います。山中先生ほどの偉業を成し遂げた人物に対してノーベル賞が授与されず、まだ若いからといってもっと年寄りに決まるのかと心配していましたが、そうではなかったことでとてもほっとしています。

やはりそれだけの仕事をした人にはそれだけのものが与えられて欲しいものです。

さて、私はこれまでバイオの研究分野に関する内容で、何度か連続コラムを書いてきました。本日からは山中先生の偉業であるiPS細胞とは何か、そしてそれがどのように開発されたのか、そして将来的に何に応用されることが期待されているのか、そうしたことについて書いてみたいと思います。

まず1回目の今日は、iPS細胞とは何かということについて説明したいと考えています。

それでは始めましょう。まずはじめにいくつかのキーワードについて説明します。

以前もお伝えしたことがございますが、私たちはけがをすると、数日から数週間すると綺麗に治ってしまいます。これは一体何故でしょうか。それはけがをしたところで、血が出たり、赤くはれたり、熱をもったりする炎症が起きて、そこでけがを直すためのたくさんの仲間がやってきて、最後には細胞が分裂してけがをした部分を修復してくれる訳です。

これを「再生」と言います。キーワードの(1)です。

また、私たちの体は皮膚や神経や筋肉など様々な種類で構成された、60兆個もの細胞から成り立っています。はじめはたった一個の受精卵だったのですが、繰り返し細胞分裂を行うことでこのように、様々な種類の細胞に分かれてきている訳です。

これを「分化」と言います。キーワードの(2)です。

この後はこの「再生」と「分化」という二つのキーワードをもとにしてiPS細胞までの道のりを説明致します。

すみません、その前にもう一つだけ大事なことがございます。それは遺伝子に関することです。私たちの細胞にはそれぞれ遺伝子DNAがしまわれている細胞核(あるいは単に核とも言う)があります。その遺伝子はものすごく長ーい百科事典のようなものです。そして、それぞれの細胞の形や性質や働きなどが異なっているのは、その中で利用されている遺伝子が違うからなのです。

全ての細胞が同じ遺伝子DNAを持っていても、皮膚なら皮膚専用、神経なら神経専用、筋肉なら筋肉専用の部分があるということです。遺伝子全体の百科事典が100巻からなっていたとしたら、それぞれの細胞は別々の巻を開いてそこの命令通りに働いているということになる訳です。

きっと、皮膚の巻、神経の巻、筋肉の巻などと名前があるのかもしれませんね。

このように、それぞれの細胞はそれぞれ特有の遺伝子を働かせているわけです。その違いが「分化」そのものと言っても構わないと思います。

さて、古くからこの再生と分化という現象は広く知られていて、それが何故起きるのかについて多くの発生生物学社が研究を重ねてきました。

この場合何が問題かというと、けがが治る時に「分化」した細胞が「再生」に関わっているのかどうかということなのです。

皆さんお分かりかと思いますが、皮膚はずっと皮膚ですし、筋肉はずっと筋肉のままです、脳はずっと脳なのです。それなのになぜ、けがをしたときに傷が治るのだろうか?と議論や研究が続けられてきたのです。

もし「分化」した細胞が「再生」に関与していたとしたら、一度「分化」した細胞が何らかの仕組みによって変化しなければなりません。

イモリの腕を研究材料にした実験ではそうしたけがをした部分の細胞が一旦変化してまた新たに分化するのだと考えられていました。これを「脱分化」と呼びます。

しかし、その後の研究で、カエルの卵の核を取り除き、小腸の細胞から核をとってきてこれを卵に入れると、細胞分裂を開始して、オタマジャクシ、カエルになるということが報告されると、この「脱分化」の仕組みが世界的に注目されるようになりました。

小腸の細胞は既に小腸に「分化」済なのに、卵に包まれると、なぜかまた1個の受精卵に戻ったかのように細胞分裂を開始する訳です。

先に説明した百科事典を例に挙げれば、小腸の巻を開いていた細胞が卵の中では一旦全てのページを閉じて、また最初からそれぞれのページを開き始めるというわけなのです。

この現象は「脱分化」の1例だとも考えられますが、「初期化」すなわち、最初に戻ることだと理解されたのです。つまり、卵の中には「分化した細胞」を一旦「初期化」する何か原因があると考えられたのです。

iPS細胞に関して説明するにはどうしてもこうした用語の解説や、歴史的な流れを少し言わなければなりません。でも、すごく簡単に言うと、iPS細胞とはこの「初期化」の原因を突き止めて、卵に入れなくとも人工的に細胞を「初期化」することが出来た技術だと言うことが出来ます。

今日はここまでに致します。最後に今日のまとめをします。

(1)けがが治ることを「再生」と言う。
(2)それぞれの細胞に変化することを「分化」と言う。
(3)分化した細胞がもとに戻ることを「脱分化」と言う。
(4)「初期化」は遺伝子の百科事典を一度全部閉じて最初から開き直すこと

さて、次回は初期化因子探し、幹細胞、ES細胞などについて説明します。

*ものすごくワクワクしています。分かります?

「山中先生おめでとうございます。本当に嬉しく思っています。」


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Monday, January 14, 2013

What is Life?「飼い犬コロの死」


みなさんおはようございます。今回のお話は2012.08.17にFacebookに投稿した記事の転載です。季節は夏でしたので、今とは若干ずれがありますが、ご了承ください。みなさんがお飼いになっているペットのことをよく観察し、そして彼らが幸せに生きているかどうかをよく考えてあげてください。Sammy as a biologist believing in the God.

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夏休みもあと残りわずか、この夏にカブトムシやクワガタ、金魚などをペットとして飼い始めた子どもたちは多いことでしょうね。きちんと彼らが幸せに一生を終えることが出来るように愛情をかけて育てていますか。

今日はそんなペットのお話です。

それは私が小学校の2年生の頃、生き物好きな父が不思議な段ボール箱を抱えて帰ってきました。そして私と私の兄に庭に来るように言いました。

その段ボールはちょっと変わっていました。動く段ボール箱だったのです。怖くなって「お父さん、これ何?」と聞きました。

父は「いいから開けてご覧」と言いました。箱の中からはとっても小さな柴犬の子どもが出てきました。「名前は二人で相談して決めなさい。」そう父は言い残して家の中に入ってしまいました。

いろいろな名前(ポチとか、タマとか、クロとか)を呼んでみた結果、コロという名前に決まりました。

餌をあげたり、散歩に連れて行ったり、色々と自分達の生活はコロのために変わりました。コロは救急車が通ると遠吠えをしたり(大変興味深いことです)、夜に逃げ出して雌犬のいる家に外出してしまったり、大変でしたが、それなりに可愛い存在でした。

でもコロの基本的な世話は全部兄がやっていたので、自分は犬の臭覚の実験(コロおいで~と呼んでから目の前でおならをしてみる)、人間と犬の順位付けの実験(誰に吠えて、誰に吠えないのか)、寄生虫に関する研究(うんちをよく調べる)、運動能力の調査(スタートダッシュと急な方向転換)、予測能力の実験(餌を片方の手に忍ばせて、投げる仕草をして、どちらに入っているか分かるかを検証)、毛の生え変わりの観察(夏毛、冬毛)などなど、いろんな実験台になっていました。

ただし、残念ながら、彼は次世代を残すこと無くこの世を去りました。

私が高校3年生のとき、兄は既に大学生になり、家にはいませんでした。コロの餌や散歩は私の当番でした。その頃、コロの年齢はおよそ13歳、犬にしては相当のお年寄りです。

あるときから、コロは餌を食べなくなりました。犬小屋の前で座り込んでいることが多くなりました。餌をほとんど食べなくなって一週間ほどが経ちました。コロの体はやせこけ、本当にもうすぐそこに死が待っていることが見ただけで分かりました。

私はもうほとんど動くことも出来なくなったコロのことが心配になり、毎日学校から帰るとすぐにコロのところに向かって体をなでてやることにしていました。もう体の一部は死んでいたのでしょうか、よくわかりませんが、その頃は既に何匹も蠅がコロの体にとまっていました。

さて、その日も学校から帰り、すぐにコロのところへ向かいました。私は「コロ!」と呼びました。コロはもう2-3日前から鳴くことも出来なくなっていたのですが、その日は口が裂けるのではないかと思うほど、大きく口を開けて、頭を持ち上げて突然私に無言で何かを訴えたのです。

実はそれがコロが最後の力を振り絞った行動だったのです。時間にしたら二秒か三秒程度だったと思います。ガクッと頭が地面に落ちて、彼はそこで息を引き取りました。

きっと、私が帰ってくるまでずっと待っていてくれたのでしょう。そして、私が帰ってきたのを知り、彼が出来る精一杯の方法で私に対してこの世の別れを告げたのでしょう。それも相当な無理をして。

私は犬のように大きく賢い動物以外に、カメ、金魚、ゲンゴロウ、ザリガニ、トカゲ、ヘビ、ジュウシマツ、インコ、ニワトリ、カブトムシ、クワガタ、カタツムリ、ダンゴムシ、コオロギ、タニシ、ハツカネズミなど、様々な動物を飼育していました。

そうしたいわゆる小動物と違って、人の言葉も理解し、様々な方法で会話をすることの出来る犬の存在はその後の自分の将来を決定するのに大きな影響を与えたと思っています。

最後に、動物行動学の権威でノーベル賞受賞者のコンラート・ローレンツ博士が彼の有名は著書「ソロモンの指輪」で示した言葉を紹介します。

「ペットは飼い主に飼われ始めたその時から死に始めるのだ」

つまり、人間以外のすべての動物は本来自然界で野生動物として生活していて、子孫を残すために必死に、そして幸せに暮らしているはずですが、一旦人間のペットとなってしまってからは食べ物も、生活の場も、子孫を残すかどうかすら人の管理下におかれてしまうのです。このことは本来の生き物の生活とは異なり、彼らの尊厳を著しく損なうことになってしまうのだ、ということなのです。

この夏休みの間に様々なペットを飼い始めることになった全国の子どもたちへ

ペットを飼うなら、最後まで面倒をみなさい。そして、
彼らもこの地球に生きる仲間だと知りなさい。
彼らが本当に望んだ生活に可能な限り近づけて、そして命の尊さをそこから学びなさい。

私がコロからもらった最後の感謝の言葉をあなたも彼らから得られるように。

「ソロモンの指輪」はAmazonで200円から売っています。まだ読んだことの無い将来の生き物博士へ、今すぐお父さんお母さんに飼ってもらいましょう、いや、買ってもらってください。

(本当の生き物博士になったいきものがかりより)


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Friday, January 11, 2013

What is Life? 「尊敬すべき会社GRANESS」2013.01.05


GRANESS株式会社代表、伊藤妃実子さんは、大学生のときにベンチャー企業としてGRANESSを立ち上げました。GRANESSはGrand father(お祖父さん)のGrandと~ものという意味を持つ接尾語nessを組み合わせてGran + ness = GRANESSとなったと伺っています。

基本的なコンセプトは日本の革職人の力を使い、品質の高い鞄を作ることです。

そのため、実質的に人件費の安い海外で生産されている海外有名ブランドバッグなどに比べて明らかに品質は優れていますし、デザインは伊藤さんを中心としたGRANESSのオリジナルです。

ただし、価格はそれほど安くはないようです。しかし、低賃金の海外の職人を使ったものと異なり、GRANESSの利益率は一般的なバッグメーカーに比べると低くなる蛍光が有るそうです。

いずれにしても、もし私が今後家族を持つようなときが有るとしたら、大事な人に持ってもらいたいブランドだと心から思っております。

最後にGRANESS代表、伊藤妃実子さんの言葉を以下に示します。

「与えた情けは水に流し、受けた恩は岩に刻む」




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日本創新党




Wednesday, January 9, 2013

What is Life? ‎「歴史的自己紹介」"Historical self introduction."

「歴史的自己紹介」2013.01.08

私の先祖は福島藩板倉家の家老だったそうです。戊辰戦争直前に会津藩江戸屋敷に密使として向かうも途中で殺されました。もし、密書が無事届いていたとしたら、福島藩は会津藩と共に後世に名を残したでしょう。

適切な用語はなかなか見つかりませんが、家老はRetainer, 藩はDomainが良さそうです。

殿様である板倉家の当主は現在東京にいらっしゃいます。

お殿様の一刻も早いお帰りを家来一同お待ち申し上げております。



"Historical self introduction."2013.01.08

My Ancestor was a chief retainer of Fukushima domain, if it was Edo period, I was a Knight.

So, we want the young President Itakura to go back to Fugusuma city as Tonosama.

Sammy as a chief retainer of Fukushima Domain or as a Knight.






Tuesday, January 8, 2013

What is Life? "The Basic Manner at the Shrine in the first arriving to ask something for the God." 2013.01.08


If you'll visit to the shrine, you have to keep the three things as following.

1, Report about last year.
2, Show your acknowledgement for the God.
3, Tell your mind for the new year as the first of the year.

It leads you success, and makes you better.

4, Don't ask so many things for the God, because the God is too busy to hear such things from the people who are in the darkness. You got it?

(From Hiroaki Bando as my latest friend.)
"https://www.facebook.com/hiroaki.bando?fref=ts"

Sammy as a biologist.




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日本創新党



What is Life? フィリピン台風大災害の爪痕は今もなお (2013.01.07)


Tadaaki Fujikawa said as shown in below. At now I can't make an easy comment for the fact at there. So could you see and consider what you should do for it!

藤川忠明さんから、以下のようなメッセージを頂いております。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー齋藤実さん、ご意見ください、

Tadaaki Fujikawa ー大熊 康浩さん、ダバオからです、このようなケースもあります、、、 ダバオの奥の山村部のサンフランシスコーコンポステラバレーよりもっと深部に福島の3重災害から家族5人で非難され、奥さんとこの山間の里で安心に農業で将来の設計を考えておあられました、                              ところが今年の異常気象で大台風ローカル名”パブロ”で北部ミンダナオが歴史上最悪の被害、を及ぼしました、死者も2千名以上、学校の倒壊数千で、比国の政府の手の施しようの無い、悲惨な大災害です、     ・・・もっと見る
53分前 · 編集済み · いいね! · 1

大熊 康浩 Fujikawaさん、「大兄」は冗談でもやめて頂きたいです、精々「台形」くらいなものですから。(@_@)
で、私が書いたTopicと、直接繫がってはいないと思いますが--「棄民」という言葉が浮かびます。
古くは南米各国へ、その後、満州へ--国挙げての「移民」政策は、実態は「棄民」でした。私の知る限り、自国民に対してこんなことをやった“近代国家”はありません。
そして福島や東北の被災各県。
3.11など考えもしない遥か以前、私が20代の頃からずっと云い続けてきました。「この国が目指すべきは、“世界で一番人間を大事にする国家”だ」と。別に私の“発明”ではありません。私の人生の師の哲学と行動を、私なりの言葉にすればそういう表現になるのです。そして私の中には、その「棄民」の歴史もよぎっていました。

今回の選挙で圧勝した自民党。過去の老人支配の自民党は私は大嫌いでした。
で、今回選挙で初めて正面切って訴えた、党是である憲法改正--。もちろん自民党の狙いは第9条です。が、実は憲法改正自体の論議は必要だと思っています。9条以外に。何故か? 石破茂が国会で何度も質疑していますが、仮に韓半島等で有事が起こった際、現行憲法では自衛隊が邦人救出に出動することも出来ません。それでいいのか? ということです。今回のダバオも同じですね。今までもフィリピンでの自然災害復興のために自衛隊が協力してきた歴史があります。もし同じような災害が起こった時のために、政府間でちゃんとした事前協議を重ねておいて、治安維持への協力も含めた軽武装程度の装備で、まず邦人救出を最優先目的とし、同時に現地住民の救助、そのまま一定数の部隊を一定期間、復興のために残留、ということが出来れば、まさしく3.11の教訓までもが反映されることでしょう。しかし現憲法では到底不可能です。「軍隊は要らない!!」とヒステリックに叫び続け、間もなく18年を迎える1.17阪神淡路の時には「自衛隊は違法ですから、自衛隊からの援助は断りましょう」というビラまで撒いたという狂気の集団・ピースボートの辻元清美などが、比例復活で国会議員をやっているような国ですから、左翼の雑魚がヒステリー起こすのは眼に見えています。
文字通り、面倒だから考えない、思考停止で無かったこと、ではなく、「是々非々」で憲法を如何に改定するか、しないかを、いまこそ国民がちゃんと考える--そういう根っこのところから手を入れないと、東電どころか国民まで、いつまでも「想定外」と云って泣いている場合ではないと思えるのです。
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先日フィリピンで起きた台風による大災害の現状です。福島の原発事故が、津波による被害がまだ何の解決もなされていないのと同様、はっきり言って、政府に復興のお金がないフィリピンでは未だに大変な状況が続いているのです。

この現状を訴えて来ている現地の日本人、つまり私達の同胞が歯を食いしばって、その窮状に耐えて、そして見えないかも知れませんが、私達に対して深く頭を下げて「助けて下さい」をお願いしているのです。

あまりにもひどい状況に私も簡単にはコメント出来ませんでしたので、ここにその文章を転載し、みなさまに注意を喚起するとともに、現状を知ってもらいたいと考えてたのです。

どうか志をお持ちの方、一度でもそうした東南アジアにご旅行をされた方、あるいは苦しみを多く経験されて来た方、そして、心から優しい気持ちを持っている方、そうした方がもしいらっしゃったら、どうかまずはこのポストにコメント下さい。

そして、どのようなことが出来るかを藤川さんを交えて改めて相談しようと考えております。

もちろん強制ではございませんし、無理は申しません。しかし、私は思うのです。遠く離れたどっか知らない国でよくわからないけど台風があったのかな、、、、そんな状況ではないのです。

*寄付?なにそれ?援助?国がやるでしょ?え?俺だって忙しいのに、。そんな声がたくさんあるのはこれまでで十分聞いてきました。だって、それを言っていたのは貴方でしょ?*

最後は皮肉たっぷりです。仕方ないことです。

もちろん先日の私の呼びかけなどで多くのお金が集まったことは間違いございません。本当に感謝しています。ありがとうございます。もう一度お考えください。想像してみましょう。ちょうど戦後間もないような状況で東日本大震災が起きてしまった、そんな状況なのです。物、お金、食料、水、インフラ、建物、そして失われた多くの命、衛生状態の悪化、とんでもないのです。

Sammy as a biologist believing in the God.

http://helppablovictims.blogspot.jp

Sunday, January 6, 2013

What is Life? The Magical Device to Connect Me to the World(世界とつながるデバイス)


今、私は手の中にあるMr. White Knightで世界と、そして皆さんと繋がっています。

技術の進歩は目覚ましいものがありますね。

今から10年程前にSteve Jobsは日本に来てこう言いました。

「インターネットには確かにネガティブな面があることを知っています。しかし、飛行機や電話のように人と人とを結びつけるものを私はとても素晴らしいものだと考えています。ですからAppleは人と人とを結びつけるインターネット技術に本気で取り組んで行きたいのです。」と。

今私はiPhoneで世界と繋がっています。ありがとうSteve、あなたの思いは私の手の中で形となっています。

ありがとうみなさん。


iPhone 4S (iPhone 4 Steve)

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日本創新党