Saturday, September 18, 2010

What is Life? 自己と非自己「救世主兄弟に関する議論の必要性」(その1)

日々秋が深まり、もはやエアコンよりもこたつが欲しくなるような、そんな今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。サミぃが応援している阪神タイガースは、今年優勝できるでしょうか?え?クライマックスシリーズ?あれって何でしょうね。

さて、本日は「自己と非自己」の話です。もちろん、この分野は「免疫」に関する内容ですので、聴講生の皆様の中には、その分野でご研究されていらっしゃる方も多くいらっしゃるかも知れません。もしかすると、そうした方々には少し物足りないかも知れませんが、What is Life?は、むしろ一般向けですので、ご了承ください。

皆さんは、「自己と非自己」とは何かご存知でしょうか。おっと、たくさんの右手が挙がっているような気がします。ですが、残念ですが、こちらからは見えませんので、こちらから説明いたします。

「自己」とは、自分、「非自己」とは自分以外の生き物のことを指します。いや、厳密には生き物と言うよりは生き物由来の細胞、あるいはタンパク質と言った方がいいかも知れません。あなたは脊椎動物ですので、体の中には抗体と呼ばれるタンパク質が活躍する免疫システムをもっています。体の外から、病原菌や、他人の細胞、あるいは他人の(他の生き物の)タンパク質などが入ってきたときに、それを認識し、排除するシステムのことを「免疫」と言います。

生まれたばかりの赤ちゃんには、この免疫システムは、まだ備わっておりません。母親からの初乳(赤ちゃんを産んで最初に出る母乳のこと)には、多くの抗体が含まれていて、赤ちゃんの体を守るために重要だというのは聞いたことございませんか?お若い方はご存知でいらっしゃらないかもしれませんが、本当です。

ヒト(に限りませんが)の体の中には、血液が流れていて、そこには、絶えず、外界からの侵入者を監視している監視人がいるのです。それが液性免疫システムの中心人物で、おっと、、、。とにかく、体外から食中毒菌などの病原菌が体内に入り込むと、2段階の方法で、体の免疫システムが対応します。1つ目が液性免疫(自然免疫)、そして、2つめが細胞性免疫(獲得免疫)と呼ばれるものです。

私たち、生き物は、基本的に、自分と自分以外を正確に見分けるシステムを持っています。それが「免疫」であり、それがないと、体の中で病原菌が大増殖して、毒素などにやられて個体は死んでしまいます。そうしたものとして、「自己と非自己」という概念に関して、皆様に理解しやすいのは、「血液型」とか、「臓器移植」などでしょうか。他人からの輸血を受ける際には、誰でもいいわけではなく、また、臓器移植であっても誰からでも移植可能ではないのです。体の中にある「自己と非自己」を見分ける厳密なシステムがあるからこそ、何となく平気でいられるのです。

このシステムは、生き物が「生きていないと」働きません。死ぬと全ての生命活動が停止しますので、仮に一部の細胞が生きていたとしても、血液内の免疫に関与するあらゆる細胞群も、それらを作り出す臓器も、酸素不足と栄養不足で死ぬことになります。

そうなると、必然的に体は外敵から身を守ることが出来なくなって、腐ってしまいます。皆さんが、普通に元気に生きられているのは、清潔にしていることも大事ですが、実際は、この「免疫システム」が働いているからなのです。

ここまでが「免疫システム」に関する基本事項の説明です。さて、タイトルにございます「救世主兄弟」という言葉をご存知でしょうか?子の親としては、臓器移植のために何億円という募金を集めて海外に渡るご夫婦に、夢と希望を与える可能性のある、「救世主兄弟」のことを、このWhat is Life?で伝えない訳には参りません。

「救世主兄弟」とは、簡単に言うと、病気の兄や姉を助けるために遺伝子を調べて、その兄や姉の「免疫に関連する遺伝子型」が同じであることが確認された「受精卵」から誕生した子どものことです。

詳細な説明は長くなりますので、本日はここまでにします。

<結論>
(1)自己と非自己とを見分けて体を守るシステムが「免疫」
(2)その仕組みを理解して、子どもの命を救うための技術が確立された。それが「救世主兄弟」
(3)詳細は次回

本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。


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1 comment:

Thank you!