Tuesday, January 29, 2013

What is Life? 老化と再生医療と若返りについて(その2)


さて、老化と再生医療と若返りについての第二回目です。前回は人の体は60兆個の細胞からなっていて、緩やかな細胞分裂が続いていることで体が維持されていることを説明致しました。

この仕組みがいつまでも続くのであれば、きっと寿命はなが~く続くのですが、そうでもないというのが今回のお話です。

今回は「細胞の老化」について説明します。前回お話ししたように体の中では盛んに細胞分裂を続けている場所と、そうでない場所があります。みなさんは老化と聞くと、記憶力が低下したり、運動能力が衰えたり、あるいはしわやシミが増えたり、耳や目が衰えたりすることを知っていますよね。

まだそうしたものの本当の原因は完全には分かっていないのですが、細胞を用いた研究によって、老化あるいは寿命とは何であるのかはある程度分かってきました。

みなさんが年を取ると、「老化」します。同じように体を構成している細胞も「老化」するのです。

細胞が老化すると細胞分裂が出来なくなります。そうなると、細胞はやがて死んでしまいます。細胞分裂が出来なくなって、細胞が死んでしまったら、本人もやがては死んでしまいます。

人の一生に限りがあるのと同じく、細胞にも細胞分裂できる回数に限りがあるのが分かったのは1961年のことです。当時スタンフォード大学の解剖学教室教授だったレオナルド・ヘイフリック博士はあるとき、正常な細胞を培養しているとそれ以上分裂できなくなることを発見しました。

ヘイフリック博士はその原因を解明することは出来ませんでしたが、その後、それが遺伝子DNAの端っこにあるテロメアと呼ばれる特別な部分が細胞分裂によって少しずつ短くなり、それが無くなると細胞分裂が出来なくなることが分かったのです。

このテロメアを発見した人はノーベル賞を受賞していますが、面白い説明をしています。

細胞をスポーツシューズに例えて、靴ひもの恥じっこにある透明なテープが巻かれている部分をテロメアだと説明しています。この端っこの部分がなくなると、靴が崩壊してしまう(細胞が死んでしまう)のだそうです。

今回の話をまとめると、本人の老化とは別に、細胞にもテロメアという靴ひもの端っこが短くなり、終いには分裂できなくなって、遂には死んでしまうという「老化」があるということです。

次回は「細胞の不死化」について説明します。


本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。

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